書評:バイコフ『牝虎』

バイコフ『牝虎』

 

極寒の密林にトラが、オオカミが。

題名は「牝虎」だが、主人公は密林に住む猟師達と、彼らに「牝虎」とあだ名された一人の女、ナスターシャ。が、本物のトラももちろん大活躍する。小説として見たら「偉大なる王」より面白いかもしれない。

ナスターシャはすごい女だ。トラに肋骨を2本も折られる傷を負いながら、意識不明の夫を担いで、オオカミの群れと戦いながら、雪山を一晩歩いたりする。

もっとすごいと思ったのは、夫をトラに殺され自分も重傷を負った経験を持つ女でありながら、トラの赤ちゃんと出会うと、ごく自然に自分の胸をはだけ自分のお乳を飲ませるくだりだ。そこには大自然の中で大自然の一部として生きている女の強さ、したたかさが満ちている。いくら私が動物好きだからって、目の前で最愛の人を喰い殺された、そのトラの子を、自分の家に入れ一人息子に添い寝させるほどの度量があるだろうか。

(2002.6.22)

バイコフ『牝虎』

バイコフ『牝虎』裏表紙

バイコフ『牝虎』

バイコフ『牝虎』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『牝虎』

  • 著:ニコライ・A・バイコフ
  • 訳:上脇進(かみわき すすむ)
  • 出版社:中央公論社 中公文庫
  • 発行:1990年
  • NDC:983 ロシア文学
  • ISBN:4122016851
  • 278ページ
  • 原書:
  • 登場ニャン物:王(ワン:シベリアトラ)
  • 登場動物: オオカミ、他

 

目次(抜粋)

  • はしがき
  • 密林の人々
  • 山小屋の女
  • 二頭の虎
  • 愛と犠牲
  • 仔をつれた牝虎
  • 牝虎
  • 野獣の夜
  • あとがき

 

著者について

ニコライ・A・バイコフ Nicolai A. Baikov

(1872-1946?)。ロシア帝政時代のキエフで生まれる。極東の国境警備隊の将校として勤務していたころ、ペテルブルグ学士院の命で、満州の自然・動物などの調査に従事。ロシア革命後、満州に亡命する。満州地方研究協会の名誉会員になるとともに、活発な著作活動をはじめ、自身の目でたしかめt自然、野生動物の生態をもとにした異色の動物小説を執筆した。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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バイコフ『牝虎』

バイコフ『牝虎』
8.3

動物度

7.5 /10

面白さ

9.0 /10

猫好きさんへお勧め度

8.5 /10

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