アイヴズ『虎が消える日』

アイヴズ『虎が消える日』

 

遅くても2025年までにトラは絶滅する?!!!

トラは現在、絶滅が最も危惧されている大型哺乳類のひとつである。

トラは全部で8亜種に分類されるが、そのうち、バリトラ、カスピトラ、ジャワトラはすでに絶滅した(学者によって分類は異なる場合があります)。
他の亜種たちの絶滅も、今や秒読み段階にはいっている。

現在のトラ最大の生息地はインドである。
「タイガープロジェクト」政策で、インド政府はトラ保護に「成功した」と発表していた。

一時的な生息数増加はあったかもしれない。
が、その後は増えるどころか減少し続け、現在(2006年1月)は2000頭以下、一説では1500頭とも言われている。
2002年には3600頭いたと言われているのに。
そのベンガルトラ減少の最大原因が「密猟」。
インドの人口増加がそこに追い打ちをかける。

他の国々のトラたちは、もっと絶望的な状況だ。
中でもアモイトラは、もし今現在、まだ生き残っている個体がいたとしても、その個体が死亡した時点で地上から絶滅するだろう。

2006年10月現在、全世界で野生のトラは、いったいどれだけ残っているのだろうか。

ごく最近発表された資料でも、トラの推定生息数は4000頭から6000頭の間とされているものが多い。
ところがその内訳をみてみると、ベンガルトラはまだ3500~4000頭いることになっている。その数字がすでに過去のものであることは上に述べた。
その「国を挙げて保護されているはずの」ベンガルトラがわずか数年で1500~2000頭以下に減少したのであれば、世界の他の地域の減少率はそれ以上と推定するのが自然ではないか?
ということは・・・

楽観的に見積もっても、2000頭を超えているかどうか!?

(この2000頭という数字は、日本在住の一素人にすぎない管理人が、断片的なニュースや雑誌記事等から勝手に推測した数字です。科学的根拠はありませんので念の為。)

さて、この「虎が消える日」は、「1986年から1990年にかけてじっさいに起こった出来事を記録したものである。」。
執筆されたのは1995年。
そして今は2006年10月。
著者がインドやインドシナで「じっさいに」話を聞いた時から、すでに16~20年も経っている。

20年前ですら、トラが生息する地域に住んでいるトラ関係者たちのトラ予想は、本を投げ出したくなるほどに絶望的だった。
本で「インフォーマント」と呼ばれているインド人トラ研究家は、こう言っている。

「たとえば、この国ですが、公表ではインドには三千から四千の虎が生息していることになっています。でも残念ながら、国立公園を自分の足で歩いて確かめれば、その数字が現実的なものではあり得ないのはすぐにわかります。この件についてはありとあらゆる可能性を考え抜いたんですが、インドに生き残っている虎が七百頭以上ということはまずないですね。じっさいにはおそらく五百頭に近いでしょう。・・・」

「現在地球上に生息する虎が二千頭以上ということはあり得ないでしょうね。千五百に近い数字かもしれない。」

そして、実際にトラと接触している人間の誰に尋ねても、皆、同じようなことを言う。
「遅くても2025年までにトラは絶滅する」と。

16~20年前にインタビューした時点で、上記のような有様だったのだ。
私が現在の数字として考えていた2000頭、それがこの本では、16年以上前にすでにその2000頭を割っているというのだ。

そして、当時と比べインターネットなどの発達で情報収集が飛躍的に容易になった今、野生トラが増えたという信頼できる情報は、ひとつも出てこない。

幸い、絶滅も“まだ”確認されてはいないけれども。

トラのような大型肉食獣は、一定数を割れば絶滅は急加速する。
多分、すでにその加速期にはいっている。

この本は、トラを生物学的に解説した本ではない(実はそう勘違いして買ってしまったのだが)。
筆者が、世界の国々を回って、トラを実際に観察している人々に会ったり、自分でトラを探してジャングルで待ち伏せしたりした、その旅行記のようなものだ。
読んでいると読者も一緒にトラを待ち伏せしているような気持ちになる。
それだけにいっそう、トラの置かれた危機的状況が身にしみてくる。

トラに絶滅して欲しくない。
しかし、個人の力ではどうにもならない・・・!!!

本のどのページも、悲痛な叫びで満ちている。

(2006.10.18)

アイヴズ『虎が消える日』

アイヴズ『虎が消える日』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『虎が消える日』

  • 著:リチャード・アイヴズ Richard Ives
  • 訳:高橋佳奈子訳(たかはし かなこ)
  • 出版社:朝日新聞社
  • 発行:1998年
  • NDC:489.53(哺乳類・ネコ科)
  • ISBN:4022573023
  • 334ページ
  • 原書:”Of Tigers and Men : Entering the Age of Extinction” c1996
  • 登場ニャン物: 野生のトラ
  • 登場動物: -

 

目次(抜粋)

  • プロローグ
  • 第一部 イニシエーション
  • 第二部 生息地にて
  • 第三部 インフォーマント
  • 第四部 忍びよる影
  • 第五部 夜の森
  • エピローグ
  •  
  • あとがき
  • 訳者あとがき

 

著者について

リチャード・アイヴズ Richard Ives

カリフォルニア生まれ。イギリス、ギリシャ、日本、インドなどに滞在しつつ、北アメリカをはじめアフリカ、東南アジアなどを巡った。インド、東南アジアへのネイチャー・ツアーのガイドをしている間に本書の構想を得た。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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アイヴズ『虎が消える日』

アイヴズ『虎が消える日』
7.6

動物度

8.0 /10

面白さ

7.0 /10

情報度

7.0 /10

猫好きさんへお勧め度

8.5 /10

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