『ペット栄養学辞典』

シニアペットとお暮しの方にとくにおすすめ。

1998年～2009年に発刊されたペット栄養学会誌と、2002年～2009年に開催されたペット栄養管理士認定講習会のテキストを中心に、ペット栄養学にかかわる用語を約2,500語掲載」した辞典。

私が税込4200円（購入時）もする本を購入するときは、ましてそれがいわゆる「楽しい本」とかでは全然無く、無味乾燥な調書や辞典の場合は、それなりの理由があります。
少なくとも、私の経済力では、それなりの理由が無ければ買えません。

買ったのは、うちの猫達のうち、1996-1999年生まれのシニア達が次々となんらかの病気を発症したからでした。
レオが甲状腺機能亢進症。
ちびまる太が肝臓と腎臓。
チャトランとみけが難治性慢性口内炎。
トロが慢性膵炎。

それぞれに、それぞれの処方食とか、サプリメントとか。
管理が大変なのは置いておいても、なぜそのフード/サプリが良いのか、はたして本当に良いのか、さっぱりわからない。

それで「ペット栄養学辞典」を買いました。
ネットで検索するより、紙の事典の方が早いし、それに・・・紙の方が、私にはしっくりくるし、面白いので（古い人間です）。

〈算用数字〉〈ローマ数字〉〈アルファベット〉〈あいうえお順〉と項目が並んでいきます。
一番最初ページの一番最初の項は、

1,25-ジヒドロキシンビタミンＤ【1,25-じしろきしびたみんディー】
1,25-dihydroxycholecalciferol;「活性型ビタミンＤ」を参照のこと。

と、いかにも「栄養学辞典」ですが、ページをめくっていくと、つぎつぎと、「ペット○○辞典」ならではの項がちらほら見られます。

・愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律
・缶詰フード
・交尾刺激
・と畜場法
・部分的人工哺乳
など。

下記の項目なんて、まさに「ペット栄養学事典」でしょう。

フェリニン【ふぇりにん】
felinine ;含硫アミノ酸である四ステインに類似した物質で、ネコ科動物の尿にだけ特異的に存在する。グルタチオンから生成され、その精製にはコーキシンと呼ばれる酵素が必要である。フェリニンが分解して生じる含硫発生化合物（3-メルカプト-3-メチル-1-ブタノール）とその関連化合物がネコの尿の悪臭の原因であるとともに、ネコの縄張りを示す臭い物質や、異性を引きつけるフェロモンの前駆体であると考えられている。フェリニン合成抑制剤はネコの尿臭を低減する可能性があり、注目されている。

たしかに、猫尿はクサイけれど、でも私の個人的感情としては、尿が（猫尿だけでなく人尿他も）クサイのは当然であり、フェリニン合成抑制剤なんて普及してほしくないなあ、とは思いますが。

それから、こんな項も。いかにもさりげなく書いてありますが、良く考えれば怖い内容ですよね。

ピーナッツ殻【ぴーなっつから】
peanut hull ; ピーナッツはマメ科の多年草植物の実で、それを包む殻のことをハル(hull)という。ピーナッツ殻は粗繊維が多く、イヌやネコではほとんど消火できない。ペットフードではこの性質を逆に生かし、肥満犬の減量用のフードの増量剤のような形で利用する場合がある。

ピーナッツ殻が、犬猫フードに使われている、これはもうペットフード業界の常識となってはいますが・・・増量剤として医学に基づいた適切な量を配合されているだけなら良いのですが、市場にあふれる激安フード、「総合栄養食」の表記を信じてそれだけを食べさせる飼い主もいるだろうし、しかしその中身は果たして、と考えると、・・・怖いですよね。

この「ペット栄養学辞典」は、一般的な飼い主さんには、おそらく不要の本でしょう。動物病院やペットショップ経営者/勤務者、動物/ペット関連業者など、いわゆるプロとよばれる人々や、多頭飼育者や愛護団体、あるいはただの物（本）好き（私のことです）向けの事典だと思います。
ふつうの飼い方であれば、多分ネット検索で十分ではないでしょうか。
持っていて損はないとは思いますけれど。

（2011.10.2.）

『ペット栄養学辞典』

『ペット栄養学辞典』