実吉達郎『本当にいた不思議な生き物』

実吉達郎『本当にいた不思議な生き物』

 

「サーベルタイガーとマンモスはどちらが強かったか」再編集・改題→「古代猛獣たちのサイエンス」再編集・改題。

昔、『サーベルタイガーとマンモスはどちらが強かったか 古代猛獣たちのサイエンス』(1990年発行)という単行本を本屋で見てその場で購入、面白く読んだ。

数年後、『古代猛獣たちのサイエンス 恐竜から人類まで、興亡の大ロマン』(1997年発行)という文庫本を見つけ、実吉達郎の著者名に何の考えもなく買って読み始めたら、どうも中身に覚えがある。良く見たら『サーベルタイガーと・・・』を加筆+再編集+改題したものだった。あららと思ったが、最後まで読んでやっぱり面白いと思った。

で。

ネット本屋で検索していたら、実吉達郎氏の新著が出ているではないか!
即、購入。

まずはティラノサウルスの前足が異様に小さい話。これは恐竜学ではとてもポピュラーな話題だから、どの本にもたいてい出てくる。
何回も読んだ話だが、この時点では、別に不思議とは思わない。
例の話ね、って感じで読み始め・・・

しかし14ページ目で「えっ?」
トラコドン!?

いそいで奥付を確認。2006年発行。
うっそー、トラコドンが出てくる本がそんな新しいはず無い!

さらに本の裏表紙や目次などを探し、やっと納得。
「*本著は『古代猛獣たちのサイエンス』(PHP文庫)を改題、再編集したものです。」

また同じ本を買っちゃった。
中身を見られないネット書店の欠点だ。
もっとも、リアル書店であっても、あの実吉氏の新刊となればきっと中身も見ずに買っちゃっただろうけれど。

というわけで、このシリーズ(?)、3冊とも持っていたりする(汗)。

実吉達郎『本当にいた不思議な生き物』

実吉達郎『本当にいた不思議な生き物』

ま、私程度の記憶力なら、別に3冊持っていても良いのだ。
細かい内容は数年もすれば忘れてしまう、いや、歳をとった今は数ヶ月かも?
内容が面白いから、こうして何回も発行されるわけだ。
その点は、文句はないし、そもそも確認しなかった私も悪いのだし。

でも、再編集する手間をかけているなら、せめて「トラコドン」や「ブロントサウルス」などは、今の名前に改めるか、注意書きをつけてほしかったなあ。

恐竜をはじめとする古代生物の世界は、日進月歩の世界である。
昨日までの常識が1日で覆るなんてことが頻繁におこる。その変遷のすごさはIT業界にも負けないくらいだ。

トラコドンもブロントサウルスも、かつては恐竜界のスター的存在だった。
しかし名が消えてもう何年にもなる。
ブロントサウルスの方は、先に発見されていた「アパトサウルス」と同種と確認されて、名前が「アパトサウルス」に統合されただけなので単純だけど【*注】、トラコドンはまさに「運命に翻弄されて」消えてしまった。
(複雑すぎてここでは説明しきれません。すみませんが詳細は「トラコドン」と検索してください。)

もちろん、あの実吉氏がそれをご存じでないなんてあり得ない話で、だから編集者の怠慢じゃないかと思うのだが。
だって注を付ければよいだけの話でしょう?

というわけで。
内容は少し古い箇所もある。それは頭に入れて読んでいただきたい。

しかし、その点を差し引いても、抜群に面白い。
同じ本を3冊買って3回読まされても、全然損した気分にならないどころか、毎回一気読みできる面白さだ。
実吉達郎氏ならではの筆力だ。
単なる事実の羅列では、いくら恐竜好きの私でも、ここまで面白いとは思えない。

さらにうれしいのは、この本に登場するのは恐竜だけではないということ。
ウィンタテリウム、スミロドン、マンモスにホラアナグマ、さらにアウストラロピテクスやネアンデルタール等々。
興味の無い人にはただのカタカナの羅列だろうけれど、興味のある人には・・・書くまでもあるまい!

もし3冊の中のどの1冊もまだ読んでいないなら、私の書評なんか見てないで、さっさと購入されるべし。

(2008.4.4.)

【*注】
このレビューを書いた時点では、ブロントサウルス=アパトサウルスである、というのが主流で、名前もアパトサウルスに統一されていました。
が、その後、やはり別種だろうとの見解が出、2015年後半頃からまたブロントサウルスの名をよく目にするようになってきました。
私自身は、ぜひブロントサウルスに復活してほしいです!
なんといっても、私の子供時代の憧れ、エース格の恐竜のひとつだったのですから。
私だけでなく、おそらく多くの研究者や恐竜ファンにとっても、ブロントサウルスは格別な恐竜だったのでしょう。
だからこそ、やはり別種だという研究が発表された次の瞬間から(といって良いくらいに迅速に)、ブロントサウルスの名がどっと復活したのでしょう。
現時点(2017.11.07.)では、アパトサウルスとブロントサウルスの問題は、まだ科学的な最終決着はついていないようですが、別種説が優勢のように見えます。

実吉達郎『本当にいた不思議な生き物』

実吉達郎『本当にいた不思議な生き物』

実吉達郎『本当にいた不思議な生き物』

実吉達郎『本当にいた不思議な生き物』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『本当にいた不思議な生き物 人類と動物の祖先たち』
「サーベルタイガーとマンモスはどちらが強かったか」再編集・改題→「古代猛獣たちのサイエンス」再編集・改題

  • 著:実吉達郎(さねよし たつお)
  • 出版社:PHP研究所
  • 発行:2006年
  • NDC:457.8 古代生物
  • ISBN:4569654428 9784569654423
  • 223ページ
  • モノクロ挿絵
  • 登場ニャン物: ホラアナライオン、スミロドン
  • 登場動物: 多数の古代生物

 

目次(抜粋)

  • 1章 奇妙な姿の恐竜たち
    • ティラノサウルス
    • ステゴサウルス
    • その他
  • 2章 絶滅した巨大哺乳類
    • ウィンタテリウム
    • バルキテリウム
    • その他
  • 3章 戦う古代猛獣
    • ホラアナライオン
    • スミロドン
    • その他
  • 4章 人類はいかにして食糧を得ていたか
    • アウストラロピテクス
    • ネアンデルタール
    • その他
  • 5章 古代生物の不思議に迫る
    • 恐竜はなぜ絶滅したのか
    • サーベル牙はどのように”開発”されたのか
    • その他

 

著者について

実吉達郎(さねよし たつお)

東京農業大学卒。三里塚御料牧場、野毛山動物園に勤務。1955年から1962年までブラジルに渡航、アマゾナス州その他で動物研究。帰国後、数年のサラリーマン生活を経て自由業に転ず。ラジオ・テレビ出演、ノンフィクション・ライター、自由ヶ丘アカデミア及び青山ケンネルカレッジ講師。
『中国妖怪人物事件』『封紙演義大全』(以上、講談社)、『人類はいつから強くなったか』(祥伝社)、『UMA解体新書』『中国の鬼神』(以上、新紀元社)、『キリンの首はなぜ長いのか』(PHP研究所)など著書多数。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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実吉達郎『本当にいた不思議な生き物』

6.9

動物度

10.0/10

面白さ

8.5/10

情報度

7.0/10

猫好きさんへお勧め度

2.0/10

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