高橋由太『ちびねこ亭の思い出ごはん』2

副題:『三毛猫と昨日のカレー』。人気シリーズ第二弾。
ちびねこ亭は「思い出ごはん」を作ってくれる小さな食堂です。「思い出ごはん」とは「陰膳」のことです。
【陰膳】(1)長い間不在の人のために、家族が無事を祈って供える食事のこと。(2)法事法要のときに、故人のために用意する食事。
ちびねこ亭の「思い出ごはん」は(2)のほうで、食べると故人の声を聞いたり、ときには会うこともできるとのウワサがながれていました。
ストーリー
余命宣告された、まだ二十歳の女性。彼女のお母さんも、二十年前に同じように余命告知され、そして他界していた。
そんな彼女が出会った青年は画家の卵。ふたりはたちまち惹かれあうが、彼女の命は長くない。彼女は懐かしいお母さんに会いに、ちびねこ亭に向かう。
来年四十歳になる引き籠もり男の母親は、ある朝、突然死してしまった。母親なくては生活費さえ無い。仕方なく男は働き始めたけれど、二十年も引き籠もっていた代償は重く・・・。
ほか、ひとりぼっちの高齢女性や、幼い息子を亡くした夫婦の話がでてくる。

感想
ちびねこ亭シリーズの第2弾。こちらもほんわか暖かくて、まるで綿菓子のように甘い後味が残る作品でした。
内容的には、切ないもの多いです。若くして余命告知されたり、小学生で死んでしまったり。死者と会えるがコンセプトの食堂のお話ですから、死者が出てくるのは仕方ありませんが。
でも、暗さはありません。どの話もやわらかい光が差し込んでいて、読めばやさしい気持ちになれます。死者はやさしく元気づけてくれます。生きている人達はもちろん、これから死に向かう余命宣告された若い女性も、みんな先に逝ってしまって一人残された高齢女性も。
そして。今回も子猫のちびちゃんが良い味を出しています。「みゃん」と鳴くだけなんですけれど、そのタイミングが絶妙。たぶん、死者を呼び出しているのも、料理の力ではなく、ちびちゃんをはじめとする猫たち?
ふんわりとした、やさしい小説です。
※著作権法に配慮し、本の中見の画像にあえてボカシをいれる場合があります。ご了承ください。

目次(抜粋)
- 黒猫と味噌漬け豆腐
- ハチワレ猫と豚バラの唐揚げ
- ソラ猫とイワシの蒲焼き丼
- 三毛猫と昨日のカレー
高橋由太(たかはし ゆた)
2010年、第8回「このミステリーがすごい!」大賞隠し球として『もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ』でデビュー。「オサキ」シリーズ、「ぽんぽこ」シリーズ、「猫は仕事人」シリーズなど、多くの時代小説の人気シリーズ作品を執筆している。時代小説以外の作品に「黒猫王子の喫茶店」シリーズ、「作ってあげたい小江戸ごはん」シリーズのほか、『あなたの思い出紡ぎます 霧の向こうの裁縫店』『神様の見習い もののけ探偵社はじめました』などがある。
(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)
『ちびねこ亭の思い出ごはん』2
三毛猫と昨日のカレー
- 著:高橋由太(たかはし ゆた)
- 出版社:(株)光文社 光文社文庫
- 発行:2020年
- NDC:913.6(日本文学)小説
- ISBN:9784334791278
- 275ページ
- 登場ニャン物:ちび、無名の黒猫、はちすけ、ソラ、小太郎
- 登場動物:ウミネコ



