うめざわしゅん『ダーウィン事変』10巻

うめざわしゅん『ダーウィン事変』10巻

いよいよTVアニメ放送開始。

2026年1月6日、テレ東系でTVアニメ放送開始! 監督は津田尚克。詳細は⇒ダーウィン事変アニメ公式サイト

チャーリーは、人間を超える知能と、チンパンジーを超える身体能力を併せもつ、半分ヒトで半分チンパンジーの「ヒューマンジー」。恋人のルーシーは人間。チャーリーの宿敵といえる存在は、同じくヒューマンジーの弟オメラス。そして、彼らを取り巻く欲望の塊。あまりに暴力的な人間達。

生物の「種」とは何か。「種差別」とは何か。世界中で翻訳が進んでいる話題のマンガです。

 

うめざわしゅん『ダーウィン事変』10巻

 

ストーリー

ルーシーはおそらくチャーリーの子を妊娠している。もし生まれれば4分の3ヒト+4分の1チンパンジーの遺伝子を持つ子だ。無事に育つかわからない。多くの交雑種にみられるように、奇形や病気が診られるかも知れない。

この子を無事に出産し育てるには、おそらくグロスマン教授の知識が必要不可欠だ。チャーリーとオメラスを育てた本人なのだから。

チャーリーは、なんとししてでもオメラスさらにグロスマンを探し出してまた会わなければならない。それがどれほど危険なことであろうと。

そのオメラスは、自身で主導した脳手術を受けて、変化していた。そしてグロスマン教授の脳は・・・

 

うめざわしゅん『ダーウィン事変』10巻

 

感想

オメラスは自分の脳を手術させ、さらに進化(?)します。オメラスは、ヒトがヒト以外の動物達に対して行ってきたことを憎んでいます。「ヒトと動物の境界を揺るがせる」こと。揺さぶってヒトも動物も変わらないことを自覚させ、ヒトをその絶対的優位性から振り落とすこと。

その計画のためには、オメラスは何でも利用します。恐ろしい計画です。

でも、オメラスのやろうとしていることって、人間たちがまさに動物達に対してやってきたことそのものなんですよね。人間はまず、動物を家畜化し、家畜たちの体を自分たちにとって都合の良い体に変形させてきました。ホルシュタインたちの乳房は異様に発達し、ブタたちは倍も子供を産むようになり、ヒヨコたちの成長速度は驚異的になって健全な大人に育つことが不可能になりました。カイコたちは自力で食べ物を探す能力を無くし、ヒツジたちは換毛できなくなり、犬たちは自然分娩の能力を失いつつあります。そして、何より、すべての家畜たちが、繁殖を含めて自由を奪われてしまいました。

実際のところ、オメラスがやろうとしていることなんて、人間達が実際にやってきたことに比べれば、てんで生ぬるいのです。それを自覚している人間は極めて少ないですけれど。

 

うめざわしゅん『ダーウィン事変』10巻

 

TVアニメが始まります。それは良いことですが、放送される時間が少々残念。24:00なんて夜中ではなく、もっと多くの人が見やすい時間帯なら良かったのに。でもヴィーガンを扱った内容ですから、圧力も大きいのかも知れませんね。日本って国は、あきれるほどに肉食万歳!卵も乳製品も大好き!動物実験はしなきゃ不安でしょ!って国なんですから。

この10巻目を購入するに当たり、アマゾンで『ダーウィン事変』にむけられたカスタマーレビューを1巻目からざっと目を通してみました。非常にガッカリしました。

ストーリーの面白さをたたえるレビューばかりで、動物達に思いをはせるレビューが無かったからです。

「考えさせられる」という表現は何人かしています。が、肉食を減らそうと思ったとか、ましてヴィーガン/ヴィーガニズムに対する理解度を深めたというような、そういうレビューはありませんでした。

マンガ、それもストーリーがとびっきりに面白いマンガを見で、底に込められたメッセージまで読み取ってくれる人って、はたしてどれだけいるのでしょうか。かといって社会的なメッセージをあまり表に出しすぎると、浅はかな読者層は一瞬で離れてしまうでしょうし・・・。

あらためて、声を大に伝えたいです。このマンガの主要人物の多くがヴィーガンです。このマンガが問うているのは、ヒトとその他の生き物たちとの境界線のあり方です。しかし本来は境界線なんか無い。「無い」という事実を、ご自分の心で、頭で、全身で、しっかりとかみしめて下さい。

 

うめざわしゅん『ダーウィン事変』10巻

 

 

うめざわしゅん『ダーウィン事変』10巻

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像にあえてボカシをいれる場合があります。ご了承ください。

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目次(抜粋)

  • 第48話 エクソダス
  • 第49話 ノンポリ
  • 第50話 ユービック
  • 第51話 Queen
  • 第52話 伝言

著者について

うめざわしゅん

作品集『パンティストッキングのような空の下』が「このマンガがスゴイ!」2017(宝島社)のオトコ編第4位にランクインし、話題になる。本作『だーをん事変』にて「マンガ大賞2022」大賞受賞、第25回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞、「このマンガがすごい!」2022(宝島社)のオトコ編第10位ラックイン、フランスの第50回暗愚レーム国際漫画祭にてBDGest’Artsアジアセクション賞受賞、フランス・バンドデシネ評論家協会Prix Asie de la Critique ACBD2023受賞など、数々の賞を獲得した。他作に『ユートピアズ』『一匹と九十九匹と』『ピンキーは二度ベルを鳴らす』『えれほん』など。
(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)

『ダーウィン事変』10巻

  • 著:うめざわしゅん
  • 出版社:(株)講談社
  • 発行:2025年
  • NDC:726(マンガ、絵本)マンガ
  • ISBN:9784065414668
  • 159ページ
  • モノクロ
  • 初出:「アフタヌーン」2025年7月号~12月号
  • 登場ニャン物:-
  • 登場動物:-
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