うめざわしゅん『ダーウィン事変』06巻

うめざわしゅん『ダーウィン事変』06

11か国語で翻訳刊行決定!!もっともSDGsなマンガと世界が認めた話題作。

うめざわしゅん『ダーウィン事変』06

あらすじ

チャーリー達の出生の秘密をとく鍵となる人物、サラ・ユァン博士を探しに、チャーリー・ルーシーとフィル・グレイス夫婦はニューヨークにやってきた。チャーリーはヒューマンジーであることがバレないよう、帽子・サングラス・等で深く顔を隠しながら。

うめざわしゅん『ダーウィン事変』06

まさにそのとき。ALA(Animal Liberation Alliance=動物解放同盟)は、人類に対するテロをさらに過激化させていた。全米各地で、一斉に銃乱射事件がおこったのだ。その目的はヒューマンハンティング・・・

「”食肉” ”スポーツハンティング”
動物に対する人間の行為を反転させている
そうでしょう?オメラス」
page104-5

うめざわしゅん『ダーウィン事変』06

オメラス。彼もヒューマンジーで、チャーリーの兄弟だが、育ちは全然違っていた。そして考え方も。平和なチャーリーのまさに真逆。テロのシンボルとして先頭に立っているのもオメラス。

チャーリーはオメラスを阻止するため、ニューヨークから単独、素足で走ってホワイトハウスへむかう!

感想

ヒトとチンパンジーを人工的に交配させて生み出された「ヒューマンジー」。チャーリーは人間をはるかに超える完璧な存在です。人格的にも、知能的にも、身体能力的にも。

その対極にいるのが、兄弟のオメラス。知能と身体能力はチャーリーと同じ、しかし、その性格は真逆。

精子の提供者、もしかしたら卵子の提供者も同じふたり。精子はマッド・サイエンティストのグロスマン博士のもの、そして卵子はグロスマン博士が飼育していた雌チンパンジーのもの。

ただ、受精後の卵子を育んだ子宮は違っていました。チャーリーを産んだチンパンジー母はわかっていましたが、オメラスを育み産んだはずのもう一頭はどこの誰で、今どこにいるのかわかりません。

同じヒューマンジーのチャーリーとオメラスの性格がこれほど違うのも、胚から育てた母体が違うから?おそらく、そうなんでしょうね。こんな細かな設定も流石としかいいようがありませんね。

私は連載誌の方は見ていませんので、単行本で読みました。まさに一気読みでした。あっという間に読み終わって、あれも終わり?この巻は薄いの?とページ数を確認してしまったほどです。そのくらい引き込まれて超特急で読んでしまったということです。

うめざわしゅん『ダーウィン事変』06

スケールはでかいし、ストーリーは息もつかせぬテンポで、いかにも男性誌で受けそうなマンガ。11か国語で翻訳刊行決定というのも頷けます。X(旧ツイッター)でちょっと検索しても、とくにフランス語での絶賛ツイートが多くて、すでに世界的な作品だなとの印象を強くします。中には「”Cowspiracy”(注)くそくらえ!『ダーウィン事変』の方がすごい!」なんてフランス語ツイートもあって、思わずクスッ。またドイツ語版での “ein atypischer Must-Have-Manga”(型破りな必携マンガ)という表現も言い得て妙☆

でも敏感すぎるヴィーガン女性にはちょっときつい絵かもしれませんね。私も最初に『ダーウィン事変』という作品のうわさを聞いたときは、善玉も悪玉もヴィーガンな設定のマンガとのことで、正直、もっとずっと平和な内容を想像したのでした。しかし読んでみたところ、銃乱射・テロ・格闘シーン等、血なまぐさい場面が多くて「あら?」って感じ。とくにこの06巻はそういうコマのインパクトが強い巻となっています。このへんはやっぱり男性誌アフタヌーン連載のマンガということでしょうか。また女性ならグロスマン博士の女性の扱い方には嫌悪感を憶えるかもしれません。女性の方はそのつもりでお読みください。

全体としては、ヴィーガン云々を度外視しても、アクション大好き人間にはたまらなく面白いマンガでしょう。何が目的でもかまいません。とりあえず、『ダーウィン事変』を手にとって読んでみてください。そのついでにちょっとだけでも「人間が動物たちにどれほどひどいことを行っているか」を考えて頂ければ幸いです。

うめざわしゅん『ダーウィン事変』06

 

※01~05巻はこちら↓

※フランス語版出版CM↓

*動画中に出てくる文章の意味*

Mais l’humanite est-elle prete pour ce bouleversement ?
 しかし人類はこのような事態に対応する準備はできているのか?
“C’est nous”
 「やったのは我々だ」
L’evolution est en marche, quel chemin choisira l’humanite?
 進化は進行中、人類の選ぶ道は?

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

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目次(抜粋)

  • 第28話 Animal Spirits
  • 第29話 Manhunt
  • 第30話 Surrogate
  • 第31話 首脳会談
  • 第32話 ダーウィンのアルゴリズム

著者について

うめざわ しゅん

作品集『パンティストッキングのような空の下』が「このマンガがすごい!」2017(宝島社)のオトコ編第4位にランクインし、話題になる。本作『ダーウィン事変』にて「マンガ大賞2022」大賞受賞、第25回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞、「このマンガがすごい!」2022のオトコ編10位ランクイン、フランスの第50回アングレーム国際漫画祭にてBDGest’Artsアジアセクション賞受賞、フランス・バンドデシネ評論家協会Prix Asie de la Critique ACBD2023受賞など、数々の賞を獲得した。他作に『ユートピアズ』『一匹と九十九匹と』『ピンキーは二度ベルを鳴らす』『えれほん』など。
(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)

『ダーウィン事変』06

  • 著:うめざわしゅん
  • 出版社:株式会社講談社
  • 発行:2023年
  • NDC:726(マンガ、絵本)漫画
  • ISBN:9784065336878
  • 159ページ
  • モノクロ
  • 初出:「アフタヌーン」23年7月号~11月号
  • 登場ニャン物:-
  • 登場動物:-
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