アンドリッチ『子羊アスカの死の舞踏』

「世界動物文学全集3」収録の作品。
なんとも奇妙な作品である。
ヒツジが、思い切り擬人化されている。能力というか肉体的制約も、とりあえず無視されている。
ありえない話となっている。
そして、オオカミ。
こちらは、ケダモノではあるが、と同時に、かなり人間くさい思考回路の持ち主ではあり、だけど、やっぱりオオカミっぽくもあるのである。
最近のDNA調査では、(ジャッカル等との混血ではなく)オオカミこそ唯一の犬の先祖とされたようだし、だとすれば、こういう好奇心を示す飼い犬ならいるなあとも思うのである。
そして、そういう犬がいる以上、オオカミもきっと同じじゃないかとも思うのである。
舞台は、ある山地の急斜面にある牧場。
子羊のアスカはバレエを習っていた。周囲の羊たちの、芸術に対する理解度は低かった。母親羊さえも、最初はいやいやなら仕方なくバレエを習わせたにすぎなかった。しかし、アスカには才能があった。アスカのバレエはめきめき上達した。
そして、ある日、アスカは恐ろしいオオカミに出くわしてしまう。
絶体絶命のアスカがとった行動とは?
幻想的であり得ない話だけど、妙に引き込まれて、一気に読んでしまいました。
(2011.4.15)

世界動物文学全集3 箱入り、中の本は布張りです。

2段構えの構成です
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『子羊アスカの死の舞踏』
「世界動物文学全集3」収録
- 著:イボー・アンドリッチ Ivo Andric
- 訳:岩淵達治(いわぶち たつじ)
- 出版社:講談社
- 発行:1979年
- NDC:933(英文学)
- ISBN:(9784061405035)
- 358ページ(うち、『子羊アスカの死の舞踏』は231-242ページ)
- 原書:”Aska und der Wolf”
- 登場ニャン物:-
- 登場動物:ヒツジ、オオカミ
目次(抜粋)
ライオン
帰らざる渡り鳥
子羊アスカの死の舞踏
ハリック
解説・藤原英司