大岡信『岡倉天心』

大岡信『岡倉天心』

 

岡倉天心が、愛猫に送った手紙。

恥ずかしながら、私は岡倉天心についてはその名前しか知りませんでした。どの時代に、何をした人かさえ、ろくに知りませんでした。

その私が今回岡倉天心の「茶の本」と大岡信の「岡倉天心」を続けて読みました。

「茶の本」は、題名から想像していた内容とはかけ離れていました。驚きました。明治の男ってかっこいい・・・なんてちゃちな感想を書いたら怒られるかも知れないけれど、でも、真っ先にそう思ったのでした。明治の男ってかっこいい。平成の優しいだけのフニャフニャ男共とはスケールが違う。こりゃもっと天心の本を読まなきゃ。「茶の本」一冊だけではとても天心を理解できたとはいえない。なのであえてこれ以上の感想は書きません。

同じ理由で大岡信の「岡倉天心」の感想も書けません。「岡倉天心」を読む前に、せめて天心の主要作品は全部読んでおくべきだったのです。「茶の本」と「岡倉天心」だけで天心論を論じようなんて、そんな愚かな真似はできません。

というわけで、ここでは、「岡倉天心」の「補遺二」(後ろに載っているおまけのようなものです)に出てくる手紙についてだけ書きます。

「親愛なるコーちゃん」という手紙で、これ、実は猫に宛てたもの。原文は英語で書かれていた。その原文と翻訳文は、椿わびすけさんのHP「伝統文化コミュニティ 椿わびすけの家 http://kyoto.wabisuke.jp/」の中の「天心が送った猫への手紙」で初めて読みました。
とても美しい、かわいい手紙でした。

この手紙、原文の英語で読むより、和訳で読む方がずっとすんなりと心にはいってきます。
天心の英語力はすばらしかったけれど、天心の心はあくまで日本人だったんだなあ、と思わずにいられません。
だから天心自身が書いた英語より、日本人大岡信が訳した和文の方が、私には味わいやすいのでしょう。
日本人が書いた英文の中でも、私的なもの(手紙など)はなぜかすぐに日本人筆と分かりますよね。
逆に、どれほど日本語が完璧でも、テレビで少し見ただけで、外国の方はすぐにそうと分かりませんか?

ところで、きっともうバレバレですね。
そうです、この短い手紙を上記HPで読んで、それに影響されて「茶の本」と「岡倉天心」を読んだのでした。
読んだ結果、頭をボカンと殴られた感じです。
そんなうわっついた心ではなく、もっと腹を据えて、ちゃんと天心と向き合え、と。
でなければ天心は永久に振り向いてくれないぞ、と。
いつになるかわかりませんが、必ずまた読み返します。
こんな読み方では勿体ないです。

大岡信『岡倉天心』

大岡信『岡倉天心』

岡倉天心が猫へ送った手紙の原文

申し訳ありませんが、和訳の掲載は著作権法に触れる可能性大ですので、ここには英語の原文だけを載せます。
和訳は本を入手してお読みください。

Tokyo Oct. 4th, 1911

Dear Kochan

Ages have passed, – are you changed any? Swans sailing acrossed the ocean have brought tidings of your whereabouts and I am glad that Fate has dealt kindly with you.
When you left I have felt the loss deeply – My breast has missed your nightly tread, the table was suddenly large without your prowling presence.
Even nor I wrtite with your picture before me. You have killed the cats in the world for you are alone, – the only one dear to me.

Have you caught your first mice yet? Did he taste nice? Perhaps you enjoy chasing squirrels, there is great pleasure in the quest of the unattainable. You and I know that wonder is the secret of bliss and that with reason comes the death of the beautiful.
I hope that you have not made the acquaintance of the feminine feline , – treacherous things who pretend to understand you and has only claws to match their eyes. Be cautious of forming friendships with tomcats – even of the best sort. They can teach only what they acquired through pain, you must learn all through life. Never be ashamed of yourself. Think of your high lineage and under whose protection you were brought to me – worthier than you or me –

With the best greeting,

Your friend, Kakuzo

I am sending you a small parcel of Japanese catnip, and hope that it may agree with you.

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『岡倉天心』
朝日選書274

  • 著:大岡信(おおおか まこと)
  • 出版社:朝日新聞社 朝日選書
  • 発行:1985年
  • NDC:289.1(個人伝記)
  • ISBN:4022593741 9784022593740
  • 339ページ
  • 登場ニャン物:孤雲(=コーちゃん。岡倉天心の猫)
  • 登場動物:-

 


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3

猫度

0.5/10

面白さ

8.0/10

猫好きさんへお勧め度

0.5/10

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