宇都宮直子『だから猫と暮らしたい』
小悪魔シュガーちゃんを迎えてから、とりこになるまで。
大変な精神力を必要とした仕事を終えた宇都宮さんは、無気力に襲われる。何もする気がしない。どんよりとした疲労感だけ。
そんな彼女を心配して、旦那が色々提案する。旅行?グルメ?それとも・・・猫を飼う?
さっそく宇都宮さんはチンチラの子猫を買ってきた。子供時代、猫と暮らしたことがあったので、猫のことは分かっているつもりだった。が、マンションで自分が責任者として猫を飼うということは、昔ながらの外飼い猫を無責任にかわいがるだけだった子供時代とは全く勝手が違っていた!
猫の排泄物にうぇっとなり、猫の抜け毛と格闘し、猫の態度に困惑しっぱなし。それでもたちまち宇都宮さんはシュガーのとりことなり、日に日にシュガーにいれあげていく。その数ヶ月後には
彼女がうちにきた当時のいくつかの『困った』は未熟な飼い主の慣れないがための戸惑いにすぎなかったかもしれない。抜け毛があれば掃除をすればよかったし、顔に毛が張り付けば、取ればよかった。
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というほどに成長する。
宇都宮さんは自分がどんどんシュガーにのめり込んでいくのをはっきりと自覚している。そしてそれを至福のことと思っている。人が猫に魂を奪われるのは当然だとも思っている。
猫と暮らしている人で、客観的でいられる人がいるのなら、ぜひ会ってみたいものだ。
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そして
ご飯を食べてくれて、眠ってくれて、喉を鳴らしてくれて有り難う。
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と書いている。
猫と暮らしている人はもちろん、将来暮らしたいと思っている人も、心から楽しめる本です。
(2005.3.9)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『だから猫と暮らしたい』
- 著:宇都宮直子 (うつのみや なおこ)
- 出版社:講談社文庫
- 発行:2001年
- NDC:914.6(日本文学)随筆、エッセイ
- ISBN:4062731509 9784062731508
- 229ページ
- モノクロ
- 登場ニャン物:シュガー
- 登場動物:-