赤川次郎『吸血鬼に猫パンチ!』

大人気「吸血鬼」シリーズ。
神代エリカは21歳。父のフォン・クロロックはトランシルヴァニア出身の正当な吸血鬼。エリカは亡くなった前妻(日本人)の子で、現在の妻・涼子はなんとエリカの高校時代の後輩。弟・虎ノ介も生まれた。
収録されているのは3編。うち、ねこが出てくるのは『吸血鬼に猫パンチ!』
『吸血鬼に猫パンチ!』
収録順は最後の3番目ですが、猫が出てきますので、最初にレビューを。
映画「吸血鬼vs狼男」のプレミア撮影会後のパーティーで、主演女優が倒れます。その首筋には傷が。吸血鬼伝説発祥の地、トランシルヴァニア出身ということで招かれた(吸血鬼だからではない!)」クロロックとエリカは、とっさに女優の命を救います。
犯人は映画関係者の誰かに違いない!
そして、満月の夜の公園で、凄惨な殺人事件が発生。まるで狼男の仕業のような・・・
映画の中で、黒猫が大活躍します。あわやというところで、ヒロインを吸血鬼から救うのです。クロロックは、「この映画で初めて知ったことだが、どうやら吸血鬼は猫にも弱いとみえる(page 164)」と冗談を飛ばしたりしますが。
この黒猫は実在の猫で、名前はブラック君。目の色は美しい緑色です。しかも、その緑色には何か理由があるらしい?
そして、期待通り、現実世界(本の中の、ですが)でもブラック君は大活躍してくれます。「三毛猫ホームズシリーズ」でおなじみの猫の活躍のしかた、つまり、犯人に飛びかかって間一髪でヒロインを救うのです。
赤川次郎の作品では、猫は常に、正義の味方、頼もしい仲間なんですよね。

『夕日に立つ吸血鬼』
〈M女子高等学校〉の校舎が取り壊されることになった。元校長と、元保健担当教師は、その解体現場を名残惜しそうに見物していたが。
その保健室の資料置き場から死体が出てきて!しかも、当校の制服を着ている!
クロロックたちが調べたところ、その学校では昔、修学旅行中に教師と生徒が駆け落ちするという事件が発生していた。その教師も生徒も女性。同性愛の駆け落ちとして、かなり評判になった事件だった・・・
『吸血鬼と逃げた悪魔』
舞台は、なんと、フランス革命直前のパリ。宮殿内になだれ込んできた暴徒から、アンリとジャンヌは命がけの逃亡。予期せぬ展開から、秘密警察長官のクーシュも加わり、馬車を飛ばしたが・・・
なぜか、気づいたとき、馬車ごと日本の池の中にいた。アンリとジャンヌはクロロックとエリカに助け出され、慣れない現代日本での生活を始める。
一方、ひとりで逃げ出したクーシュは、フランス史にさえ名前を残した生来の悪者で・・・
あまりにあり得ない設定の短編ですが、ここまでファンタジーだと逆に楽しめる一編となっています。日本人女性の多くは、フランス人自身よりもフランス革命当時のフランスについて詳しいといわれています(もちろん、池田理代子『ベルサイユのばら』の影響😏)。
ベルばらが好きな人ならより一層楽しめそうな作品です。
※著作権法に配慮し、本の中見の画像にあえてボカシをいれる場合があります。ご了承ください。

目次(抜粋)
- 夕陽に立つ吸血鬼
- 吸血鬼と逃げた悪魔
- 吸血鬼に猫パンチ!
著者について
赤川次郎(あかがわ じろう)
1976年、『幽霊列車』で第15回オール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。「吸血鬼はお年ごろ」シリーズほか、著書多数。2006年、第9回日本ミステリー文学大賞を受賞。2016年、吉川英治文学賞受賞。
(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)
『吸血鬼に猫パンチ!』
- 著:赤川次郎(あかがわ じろう)
- 出版社:(株)集英社 集英社オレンジ文庫
- 発行:2024年
- NDC:913.6(日本文学)小説
- ISBN:9784086805667
- 225ページ
- 登場ニャン物:ブラック
- 登場動物:-



