赤川次郎『三毛猫ホームズの夢紀行』

赤川次郎『三毛猫ホームズの夢紀行』

 

4年間引きこもりの男性。その母親が殺されて。

まだ若い男だったが、ずっと引きこもり。トイレとお風呂以外、部屋から一歩も出ない生活。
男の世話は、何もかも、母親が担っていた。

その母親が、家の中で何者かに殺された。

不思議だったのは、今は二人きりの母子家庭だったのに、その母親に働いている形跡がなかったことだ。
しかも、預金通帳には数千万もの残高。

その母親はどこから収入を得ていたのか?
危ない橋を渡っていたのではないか?
殺されたのも、それが原因だったのではないか?

*   *   *   *   *

救いようのない、甘ったれ引きこもり男。
こんな男を世話する若い女が出現することが不思議です。
それにしても、赤川氏がちょっと違ってきたかなと思ったのは、危ない目にあっても、大怪我をさせられても、命が助かる人が増えたことでしょうか。
昔の赤川氏ならあっさり殺しちゃっただろう場面で、ぎりぎり助かる人が増えたような気がします。私の気のせいでしょうか。
助かる人が増えるのは良いことです。そうそう簡単に人を殺し続けてはいけません。

それから、ケータイの出番がめっきり増えました。
この数年後の作品では、ホームズの世界でもスマホが大活躍するようになるんでしょうね。

で、話題は変わりますが。
ふと思い出しちゃいました。電話をかける猫たちの話。

大昔の黒電話の時代は、猫が電話をかけるなんてあり得ませんでした。
あの重たい受話器は外すだけでも大変でしょうし、そのあとに、ダイヤルに爪をひっかけて、ジーコ、ジーコと回すなんて、猫には不可能でした。

ところが、プッシュフォンが主流になると、猫が電話をかける事件が頻発。
まず、受話器を外す。プッシュフォンの受話器は軽いから、猫が上を歩くだけで簡単に落ちちゃうんですよね。
受話器がはずれたりボタンを踏めば変な音がして、猫には不思議だったでしょう。またグルグル巻きのコードは、猫のじゃれ心を誘ったことでしょう。
猫ちゃんは「にゃんだ、これ?」と、電話機のまわりをウロウロ。
その時、偶然、「*1」とか踏んでしまったとしても、不思議ではありません。
その結果、短縮番号に登録された相手に無言電話がかかるというハプニングが、少なからずありました。

スマホが主流になった今、猫が電話をかける件数は激減しちゃったでしょうね。
ちょっと残念かも。

*こんなコンテンツもあります⇒猫様パーツ展>電話をかける猫たち

三毛猫ホームズシリーズ

赤川次郎『三毛猫ホームズの夢紀行』

赤川次郎『三毛猫ホームズの夢紀行』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『三毛猫ホームズの夢紀行』

  • 著:赤川次郎(あかがわ じろう)
  • 出版社:光文社 光文社文庫
  • 発行:2015年
  • NDC:913.6(日本文学)推理小説
  • ISBN:9784334768652
  • 305ページ
  • 登場ニャン物:ホームズ
  • 登場動物:-

 

 

著者について

赤川次郎(あかがわ じろう)

福岡県福岡市博多区出身。1996年度より金沢学院大学文学部客員教授。父親は元満洲映画協会、東映プロデューサーの赤川孝一。1976年「幽霊列車」で第15回オール讀物推理小説新人賞、1980年『悪妻に捧げるレクイエム』で第7回角川小説賞、2006年第9回日本ミステリー文学大賞、2016年『東京零年』で第50回吉川英治文学賞を受賞。多作で知られ、2015年には580冊を突破、累計発行部数は2015年時点で3億3000万部を超えている。三毛猫ホームズシリーズ、三姉妹探偵団シリーズ、幽霊シリーズ、吸血鬼シリーズ他、シリーズ物も多い。

三毛猫ホームズシリーズ

(著者プロフィールはWikipedia他からの抜粋です。)


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