赤川次郎『三毛猫ホームズの裁きの日』

赤川次郎『三毛猫ホームズの裁きの日』

ホームズたちの目の前でおきた一家心中事件。三毛猫ホームズ第53弾。

あらすじ

いつものメンバーが、ある観光地の岬の突端にきていた。
片山義太郎と妹の晴美、その恋人、否、晴美に片思い中の石津、それからもちろん、三毛猫のホームズである。

岬の先端は絶景の撮影スポットだったがとても狭いので、大行列ができる始末。ホームズたちも並んでいた。するとあろうことか、ホームズ一行の目の前で、4人家族が飛び降り心中!慌てて駆け寄り娘だけは救ったが、父・母・まだ幼い弟は海中に・・・

その一家は、5年前におこったあるB食品の内部告発者だった。勇気を出して、産地偽装を暴いたのだった。しかしその後のサラリーマンとしての道は悲惨を究め、ついに一家心中。現在のB食品は、かつての社長は会長に退き、出来の悪い息子が社長を引き継いでいた。

感想

赤川次郎さん、もうお若くは無いのにこのテンポの良さは何なの?ってくらい、相変わらずのテンポで、軽く跳び跳ねるようにストーリーが進んでいきます。
そして相変わらず女性たちが元気です。元気すぎて、男性陣の影が薄いどころか、ほとんど見えないくらい?
そして相変わらず義太郎はモテています。女性恐怖症も治っていないようですが。
石津は相変わらず食いしん坊ですし、晴美も警察関係者ではないのに相変わらず捜査に首を突っ込んでいますし、そして、ホームズは相変わらずさえわたっている!
そう、いつもと変わらぬメンバーの、いつもと変わらぬお話ながら、こんなに面白いのは何故でしょうね?
さすが赤川次郎、すごいなあ。

ところで。
これも相変わらずの、「なぜ?」。

描かれている猫イラスト、といっても表紙絵しかないのですが、またまた「三毛猫」ではありません。
三毛猫ホームズシリーズ、何冊出しても、イラストレーターが何人代わっても、不思議なくらい三毛猫として描かれることは少ない(ほとんど無い!!)のです。
書籍イラストレーターの世界ってどうなんっているんでしょうか。
実に不可解です。
そういえば作品中でも三毛猫ホームズが「三毛猫」であるという説明が省かれていました。
過去の多くの作品では繰り返し述べられていたのですけれどね。
赤川氏もついにあきらめられたのでしょうか?

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

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赤川次郎『三毛猫ホームズの裁きの日』

『三毛猫ホームズの裁きの日』

  • 著:赤川次郎(あかがわ じろう)
  • 出版社:株式会社光文社 光文社文庫
  • 発行:2021年
  • 初出:「小説宝石」2018年6月号~2019年9月号
  • NDC:913.6(日本文学)長編推理小説
  • ISBN:9784334791766
  • 354ページ
  • 登場ニャン物:ホームズ
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