赤川次郎『吸血鬼と怪猫殿』

父親はトランシルヴァニア出身の正当な吸血鬼。
神代エリカ21歳の父親、フォン・クロロックはトランシルヴァニア出身の正当な吸血鬼です。エリカは亡くなった前妻(日本人)の子で、つまり吸血鬼と人間のハーフ。現在の母・涼子はなんとエリカの高校時代の後輩。弟の虎ノ介はまだ赤ちゃんです。
収録されているのは『土曜の夜と吸血鬼の朝』『吸血鬼と怪猫殿』『吸血鬼に賞罰なし』の3編。
『吸血鬼と怪猫殿』
収録されているのは2番目ですが、猫が出てくる唯一の短編なので最初にレビュー。
大企業の社長の加瀬は妻を亡くして久しかった。その加瀬に、30も年下の恋人ができた。ふたりは真剣に愛し合い、結婚の約束をするが、前妻の子供達、娘の八重子と息子の浩樹は許せない。あんな若い女性が本気で父を愛しているわけがない、財産狙いに決まっている!
二人は恋人を殺害する。残酷にも一緒にいた猫をも巻き添えにして。
その後、殺害跡地にビルが建ったが、その完成披露パーティの最中に、怪奇現象がおこった・・・
猫が、自分と、大切な飼い主を殺した人たちに復習するために、化けて現れるという、日本ではありふれた(?)設定です。しかし、トランシルヴァニア出身の正統派吸血鬼がからんくるという設定がちょっと変わっています。
なにしろ短い作品ですし、しかも推理小説ですから、下手に書くとたちまちネタバレになってしまいますので、ほとんど何も書けません。強欲な人間に殺された罪もないタマちゃんが可哀想なだけです。あ、恋人もね。彼女も罪なき命を不当に奪われました。
化け猫騒動、クロロックの陰謀(?)、あまりに愚かに欲深い人間達、加瀬の純愛。短編のわりには人間関係が複雑に絡み合っていて、名前もたくさん出てきます。赤川作品らしく、ハイテンポでどんどん話も進んでいきますから、うかうかしていると出てくる名前に「えーと、これは誰だっけ?」なんて読み返さなければならなくなります(汗)こういう作品は途中で下においてはいけません。すべての名前、関係性、プロットが、頭に入りたての記憶鮮やかなうちに、一気に読み終えて下さい。私は・・・定期健康診断の合間の病院の待合室なんていう、落ち着かないは、切れ切れになるはという悪条件で読んでしまったため、途中で誰が何だかわからなくなって(苦笑)。いや、単に年齢のせいか?(大汗)

『土曜の夜と吸血鬼の朝』
立花竜一は俳優。うだつが上がらないまま、年月ばかりすぎていたが、そんな「売れていない」俳優に、突然のタイトルロールのオファー!その名も「狼男」。
立花の夢は、チェーホフの劇をやるような俳優になりたかったというものだ。しかし、立花には妻がいる、子供まで産まれた、役選びで贅沢をいえる身分ではない。速攻で「やります」と答えるしか無かった。
世間の予想に反して(?)狼男は当たりに当たった。いまや立花は大スターといってよかった。が、事件がおこって・・・
『吸血鬼に賞罰なし』
吸血鬼と人間のハーフ、エリカが通うN大学に、いつも一人で行動している女学生がいた。ウワサでは前科一犯とか。彼女が気になったエリカは、あとを追いかけて話しかける。まもなく二人は友達になるが、そんなある日、彼女の住むマンションのベランダから男が下に飛び降りた。飛び降り自殺するような男には見えなかったが・・・?
※著作権法に配慮し、本の中見の画像にあえてボカシをいれる場合があります。ご了承ください。

目次(抜粋)
- 土曜の夜と吸血鬼の朝
- 吸血鬼と怪猫殿
- 吸血鬼に賞罰なし
著者について
赤川次郎(あかがわ じろう)
1976年文藝春秋の「第15回オール讀物推理小説新人賞を受賞。『吸血鬼はお年ごろ』シリーズの他、『幽霊から愛をこめて』『ふたりの恋人』『一番長いデート』『幽霊たちのエピローグ』など、著書多数。
(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)
『吸血鬼と怪猫殿』
私が持っている本は古く1998年版。リンクは現在入手できる新しい版を記載します。

- 著:赤川次郎(あかがわ じろう)
- 出版社:(株)集英社 集英社文庫
- 発行:2017年
- NDC:913.6(日本文学)小説
- ISBN:9784087455427
- 224ページ
- 初出:「COBALT」1997年8月号、12月号、 ’98年4月号
- 登場ニャン物:タマ
- 登場動物:



