ジェルミ・エンジェル『猫ふえちゃった』『猫とねことネコ』

ジェルミ・エンジェル『猫ふえちゃった』『猫とねことネコ』

 

北海道のムツゴロウ王国の百数十匹の猫たち。

いずれも、有名なムツゴロウ動物王国の猫達の写真集。

ジェルミ・エンジェル『猫ふえちゃった』

ジェルミ・エンジェル『猫ふえちゃった』

ムツゴロウ氏は呑気なことにも不妊手術をしなかったばかりか、最初の頃は飼い猫を外出自由にしていたらしい。
当然ながらネコの数は増える増える。

その上、動物王国には捨て猫が絶えない。
猫捨ての現場を発見すれば注意して連れて帰ってもらうが、そういつも見張っているわけにはいかず。

で、増えすぎた猫達の為に、(というより、猫達のスプレー攻撃と家具への悪戯に閉口して)、専用の猫舎を作り、猫達を全員そこに住まわせることにした。

百数十匹の猫達は以後その猫舎で暮らすことになる。

猫達の世話はイギリス青年のエンジェル氏が担当した。
エンジェル氏は、王国の女性と結婚し、献身的に猫達の世話をし、カメラの勉強をし、やがて立派に王国を巣立っていった。

この2冊の写真集はそんなエンジェル氏の写真と文章を集めたものである。

あまりに猫が増えるので、ついに雌猫だけ避妊手術を施すことになる。
それも素人のエンジェル氏が、獣医に一度模範手術を見せてもらったあとは、自分でメスを握って勝手に行うのである。
しかし手術方法は一般的に行われている卵巣・子宮摘出手術ではなく、卵管を結ぶ、いわゆる卵管結紮方式である。
「恋の喜びを奪わないように」
だそうだ。

しかも全員には手術しない。
「子猫がいない猫舎はさびしいから」と。

そのため、手術したあとも、猫舎は恋の喧噪に明け暮れ、雄猫達はスプレーと喧嘩を繰り返し、雌猫達は雄猫達に首筋を噛まれ血だらけになる。
妊娠しないのだから発情は永遠に続き、恋の喧噪も永遠に続く。

ジェルミ・エンジェル『猫とねことネコ』

ジェルミ・エンジェル『猫とねことネコ』

・・・なんという猫舎だろう!

ムツゴロウ氏は本当に動物好きだろうかと私が疑ってしまった本である。
以来、申し訳ないが氏のなさる事には私はいつも眉に唾をつけて見てしまう。

大人猫を数百匹単位で収納できるスペースと、それを養うだけの経済力と人手があるのなら、どうして自家繁殖させて喜んでいるのでしょうね?
同じ北海道で、数多くの野良猫・捨て猫たちが、文字通り生死の境をさまよいながら苦しんでいるというのに?

これは古い写真集なので、今はどうなっているのか、私は知らない。
今でも猫舎があって数百匹もの猫達が暮らしているのだろうか。

(2004.1.2)

ジェルミ・エンジェル『猫ふえちゃった』『猫とねことネコ』

ジェルミ・エンジェル『猫ふえちゃった』『猫とねことネコ』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『猫ふえちゃった』
――キャッツ ウォッチング――

  • 著:ジェルミ・エンジェル
  • 出版社:小学館
  • 発行:昭和57年(1982年)
  • NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)猫の写真集+エッセイ
  • ISBN:4093530114
  • 155ページ
  • 登場ニャン物:多数
  • 登場動物:-

 

著者について

ジェルミ・エンジェル

南イングランド生まれ。オックスフォード大学動物学部卒業。北海道の畑正憲氏のムツゴロウ動物王国で、ねこなどの動物を肥育しながら、動物写真を撮り続ける。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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『猫とねことネコ』
写真集 孤独な社交家

  • 著:ジェルミ・エンジェル
  • 出版社:陵北出版
  • 発行:昭和59年(1984年)
  • NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)猫の写真集+エッセイ
  • ISBN:494752104X
  • 登場ニャン物:多数
  • 登場動物:馬、犬

 


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