ドーサ『オスカー』

ドーサ『オスカー』

副題「天国への旅立ちを知らせる猫」。

著者は、「ステアー・ハウス」という名称のナーシングホームに勤務する医師です。ナーシングホームとは、日本でいうところの「介護付き有料老人ホーム」と「特別養護老人ホーム」を合わせたような施設です。

入居してくる高齢者は皆、記憶と体機能がおぼつかなくなってしまった人ばかりです。このホームで人生を終える入居者も少なくありません。

そんな高齢者をなぐさめてくれるのが猫たち。各階に2ニャンずつ、オスカーはそのうち、3階で暮らす猫です。記憶をなくし無表情になってしまった高齢者も、猫を見ると笑顔を浮かべます。猫たちも立派に勤務しているのです。

オスカーはふだんはあまり愛想の良い猫とはいえません。ところが、なぜか、入居者が息を引き取るその直前から、必ず入居者のベッドに乗るようになりました。専門の医者でさえ、その患者が数時間後に急変するだろうとは思わないような症状の患者でさえ。オスカーは決して間違えないのです。これが自分の仕事、とでもいうように、しっかりと入居者に寄り添って、その最期を見届けるのです。

オスカーの話を聞いたとき、著者は最初は半信半疑、いえ、まったく信じませんでした。猫に死期がわかる?そんな馬鹿な!

しかし、そういう場面に何度も実際に同席してしまうと、もう信じるしかありません。オスカーは確かに確実に入居者を看取っていたのです。

著者は遺族をまわってインタビューもしました。著者の最初の憂慮は完全に覆されました。家族の最期の瞬間に猫がベッドに乗っていたことを、不快に感じた家族は誰もいませんでした。それどころか、誰もが感謝していました。オスカーのおかげでお母さんは安らかだった。オスカーが教えてくれたから、あのとき帰宅せずに看取ることが出来た。オスカーのおかげで自分もどれほど慰められたか。・・・

著者は、オスカーはヒトには感じられないニオイを感じているのだろうかとか、いろいろ医者らしく考えますが、わかりません。ニオイも感じているのかも知れません。が、それだけではない、別の「何か」もあるような気がしてなりません。

それが何なのか、それこそわからないのですけれども。

でも私は、それが猫の持つ不思議な力だと思うのです。なぜなら私自身も何回も経験しているからです。

 

ドーサ『オスカー』

 

うちは多頭飼いです。過去に何ニャンも亡くしています。その多くの場合、最期の瞬間には、家中の猫たちがその子の周りに集まっていることが多いのです。

今年になってからも、まろを亡くしました。まろの最期の夜については、こちらに書きましたが、やはり猫たちが集まっていました。猫たちの様子からもう数時間内だと私もわかりましたので、最期の瞬間、まろは私の腕の中にしっかり抱かれていました。うちの子にしたどの猫も最期は腕の中で看取ることが出来ているのは、他の猫たちが的確に「その時間」を教えてくれるからです。

日本では「衛生面や管理上の理由から」動物は原則不可なホームが多いと聞きます。でも、もし本当に入居者のためを思うなら、動物がホームに同居することは、害より益のほうがよっぽど多いのではないでしょうか。猫がよりそってくれているかいないかで、精神的な安らぎが全然ちがってきます。とくに以前は猫と暮らしていた高齢者の場合、猫効果はすばらしいものがあるようです。

介護関係者の皆様全員にぜひ読んでいただきたい本でした。

 

ドーサ『オスカー』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像にあえてボカシをいれる場合があります。ご了承ください。

ショッピングカート

著者について

デイヴィッド・ドーサ David Dosa

ロードアイランド病院の老年医療専門医で、ブラウン大学准教授。
(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)

『オスカー』

天国への旅立ちを知らせる猫

  • 著:デイヴィッド・ドーサ David Dosa
  • 訳:栗木さつき(くりき さつき)
  • 出版社:(株)早川書房
  • 発行:2010年
  • NDC:934(英随筆、英エッセイ)
  • ISBN:9784152091093
  • 311ページ
  • カラー口絵、モノクロ写真
  • 原書:”Making Rounds with Oscar” c.2010
  • 登場ニャン物:オスカー、マヤ、バッチズ、ヘンリー
  • 登場動物:-
ショッピングカート

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA