西川治『miao』

夢物語のようなフォトエッセイ。
ヒトの夢はモノクロだという。
が、画家のように色彩感覚が鋭い人は色つきの夢を見やすいらしい。
また、普通の人でも、まれに色つきの夢を見ることはある。
しかし、通常はモノクロの夢を見るという。
ヒトが属する哺乳類の他の動物たちも、モノクロの世界に住んでいる種が多い。
してみると、モノクロこそ、我々人類の源流にある世界なのであろう。
「miao」は以前に発売された「ズッケロとカピートに子猫が生まれた」のリメーク版だそうだ。
「ズッケロ・・・」はカラーだったそうだが、「miao」はモノクロ。
色彩をなくした分だけ、より幻想的になっている。
イタリアの風景が、ますますおとぎ話めいてくる。
ズッケロとカピートという、実際に存在した2匹の子猫の写真でありながら、すでに2匹はこの世を超越して、夢の世界の住民のようだ。
美しく、あどけなく、・・・
西川治氏は、写真家であり、文筆家であり、画家であり、料理人でもあるという、多彩な人。
ネコの写真集の他、料理関係の本も多く出している。個展もたびたび開催。日本経済新聞に執筆したり、テレビに出演したりと、多忙な人物だ。
(2002.11.17)

西川治『miao』

西川治『miao』
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『miao』
- 著:西川治(にしかわ おさむ)
- 出版社:角川書店
- 発行:2002年
- NDC:645.6(家畜 犬・猫)フォトエッセイ
- ISBN:4048535447 9784048535441
- 77ページ
- モノクロ
- 登場ニャン物:ズッケロ、カピート
- 登場動物:-
【推薦:にゃぐ様】
兎に角、美しい写真集です。
わざわざスタジオでセットを作って撮影した物ではない自然さをとても好もしく感じました。
西川夫妻がイタリアの田舎町に滞在中、スペイン風の大きなお家で『ズッケロ』と『カピート』と共に生活し、そのお屋敷や、周辺の風景の中で自由に生きている様子・・・が手に取るように感じられます。
「外国風」では無く、外国(イタリア)に住んでいたからこそ成せる技。1つ1つの室内装飾やお庭の草花が・・・モノクロームの世界の中で、スィニョリーナズッケロとスィニョーレカピートを優しく包み込みます。
幸福な猫たちと共に生きる幸せとでも言いましょうか?
(2002.11.11)
*サイトリニューアル前にいただいておりましたコメントを、管理人が再投稿させていただきました。