下村しのぶ『おばあちゃん猫との静かな日々』
おばあちゃん猫照枝さんの、静かなフォトエッセイ。
照枝さんは19歳。人の年齢に換算すると92歳。
茶トラ白で、どちらかといえばずんぐりむっくりな体型。尻尾は長くて太くて立派です。
19歳とはおもえないほど、お顔ふっくら、お口回りもきれいです。短毛さんですが、みるからに柔らかそうな、抱きしめたくなるからだをしています。
何回か、あぶない状況になってしまいます。その都度、すばらしい生命力で、照枝さんは戻ってきます。
文章は少ないし、字も小さいし、写真が主体の本ではありますが、その少ない文章を読んでいると、切なくなってきます。
とうとう、動くことができなくなってしまいました。いよいよかと不安な著者。でも照代さん、また丁寧に動きだし、自力でトイレに行き、ごはんをたべ、水も飲みました。
そんな照枝さんを見て、著者は最終的な覚悟を決めます。
もう検査はやめた。
悪いに決まってる。まだそのときじゃないということだと思う。
今日の朝は、ひなたぼっこがしたかったらしく、サンルームで動く前脚をのびーとした。生きてる。
この「生きてる」、気持ちが痛いほどわかります。
私も何度も、愛猫を看取っていますから。
ぐったりしたままの愛猫を、夜も2時間ごとに目覚ましをかけて、「生きてる」「まだ生きてる」と確認してはホッとする、もうすぐ終わるとわかっているけど、それだけになお一層愛おしい、いっしょの時間。
生きてる。
これが、どれほど大事か。
とうとう、照代さんは旅だっていきます。最期まできれいだった照代さん。尻尾の先まで真っ白くきれいだった照代さん。
こんなに愛された照代さん。
19年か。ゆっくり休むんだよ。
いつになるかわからないけど、また会おう。愛してる。
・・・・・
巻末に、十数ページと短いながら「老猫と暮らすための知恵袋」があります。こちらは文章中心です。
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『おばあちゃん猫との静かな日々』
- 著:下村しのぶ(しもむら しのぶ)
- 出版社:株式会社 宝島社
- 発行:2014年
- NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)フォトエッセイ
- ISBN:9784800224095
- (ページ無記載)
- カラー
- 登場ニャン物:照枝
- 登場動物:
目次(抜粋)
照枝さんのこと
照枝さんとの最期の日々
そして、これから
老猫と暮らすための知恵袋
●著者・下村しのぶさんが照枝さんとの日々で学んだ老猫と暮らす知恵
●照枝さんの主治医が考える老猫と暮らす知恵
●対談 愛猫の最期を迎えるということ
●あとがき