浅羽宏『ネコもよう図鑑』
副題:『色や柄がちがうのはニャンで?』
猫の毛色は遺伝子で決まります。W、O、A、B、C、D、T、i、S、L。これらの組み合わせだけでも複雑ですが、さらに例えばt遺伝子にちいさなbがついたりと、頭がこんがらがってしまいそうです。
この本は、それらの遺伝子のうち、おもな8種類(W、O、A、C、D、T、S、L)を選び、誰にも(猫にも?)分かりやすく、写真たっぷりに紹介した本です。遺伝子の本というより、むしろ猫の「写真集+丁寧な毛色説明」みたいな一冊。
すごく分かりやすい本です。
「猫の毛色を決める遺伝子についてなんか知らなぁい、そもそも遺伝子学についての知識も無いしぃ」
なんて人でも、この本を一冊ゆっくり読めば、もはや遺伝子博士気分?ややこしい遺伝子学をこれほど簡易に書いた本も珍しいくらい。
猫とくらしている人、猫好きな人にはおすすめの一冊となっています。
強いて言えば、縦書きと横書きが混在しているのですが、このようにアルファベットが多用される科学書(一応)であれば、私としては、全部横書きの方がさらりと読めたかなとは思いました。でも、科学論文に慣れていない人であれば、むしろ、縦書きになっていることで遺伝子のひとまとまりが見やすいかもしれません。
それから、キジトラとサバトラがいっしょくたに「キジ」として説明されていて、それは別によくある事ですから猫の毛色遺伝子について知っている人なら別にかまわないと思いますが、この本は遺伝子になじみのない人を主な対象に書かれた本と思われますので、キジとサバがどこまで同じでどの部分が違うのかについて、もう少し詳しく書いてあればもっと親切だったかなあ、とも思いました。
と、気になった2点を書きましたけど、とはいえ、おすすめの本であることにはかわりありません。写真も、ふつうの日本猫がほとんどで、いわゆる商用のための「純血種」は、毛色の説明のために最低限しか出てこない点も、私としては大いに「いいね!」です。
巻末に「遺伝子当てクイズ」もありますので、ぜひ挑戦してみてくださいニャ!
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ネコもよう図鑑』
色や柄がちがうのはニャンで?
- 著:浅羽宏(あさば ひろし)
- 出版社:株式会社 化学同人
- 発行:2019年
- NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)
- ISBN:9784759820157
- 111ページ
- カラー
- 登場ニャン物:多数
- 登場動物:ー
目次(抜粋)
いつもと違う眼でネコを見る
第一部 入門編
ネコの毛色と模様が決まるしくみ
ネコの毛について
ネコのおもな模様
1 キジ
2 白
3 黒
4 茶
5 黒ブチ
6 茶ブチ
7 キジブチ
8 黒二毛
9 キジ二毛
10 黒三毛
11 キジ三毛
シマ模様の種類
毛色と模様を決める遺伝子
遺伝子組み合わせ判定フローチャート
[コラム]模様別個体数の割合
第二部 写真集編
いろろな模様のネコたち
第三部 基礎知識編
ネコと遺伝をもっと知りたい
ネコ飼育の歴史
ネコの骨格と特長
遺伝子と染色体
メンデルの遺伝法則
付録
猫の遺伝子当てクイズ
問題1~4
問題の解答と解説
参考文献
あとがき
誤変換をご指摘くださいましたS様
ありがとうございました。訂正しました。
(コメントとお名前はご希望通り消させていただきましたが、ひとことお礼を申し上げたくて)