柴田よしき『猫は引っ越しで顔あらう』

猫は引っ越しで顔あらう - 猫探偵正太郎の冒険IV

探偵正太郎の冒険4

正太郎と天ぷらそばの冒険

正太郎とひとみは、住み慣れた琵琶湖湖畔のマンションから、東京へ引っ越すことになった。
ひとみの恋人が東京の大学勤務になったので、それを追いかけた形だ。
なのに、なぜか恋人とは同居しないという。

となれば、まず必要なのが、住む場所。
ひとみが出した条件は「最低2LDKで、猫が飼えて、南向きで、渋谷か新宿に乗り換え無しの30分以内で行けて、家賃が十万円以下」という、きびし~~~い条件。

それでも、ひとみに片思いしている糸山クンは、必死に探してくれた。
それらの物件を正太郎も一緒に見て回ったのだが・・・

そこへ「天ぷらそばの謎」が!

正太郎と古本位置の冒険

正太郎たちは東京に引っ越した。
すぐに友達ができた。
茶トラ+白のニンザブローと、アメショーもどきのフルハタ。
ニンザブローは、こんな名前でも女の子。通称ニンニン。
フルハタは男の子で通称フルフル。

さて、仲良し3ニャンが古本市を見物していると、そこには怪しい男がいた・・・

正太郎と薄幸の美少女の冒険

ひとみが借りた物件は、なんと、庭付き一軒家!
いや、正確には、由緒正しそうな家の古くてちゃちな離れなのだが、それでも、「庭付き一軒家」にはかわりはない。
しかも「最低2LDKで、猫が飼えて、南向きで、渋谷か新宿に乗り換え無しの30分以内で行けて、家賃が十万円以下」という条件になんとか合格している。

そんな好条件の物件がそれほど安く借りられるには当然ながら深~いワケがあった。
その「ワケ」を猫たちがあばく。
気の良い犬「巨大な豆柴」のしんのすけも登場して、ますます絶好調の正太郎たちだ。

祈鶴

この最後の短編は他の3編とは少し雰囲気が異なる。
特別に猫好きというほどではない人にとっては、この話が一番面白いかも知れない。
ミステリーはどれもそうだけど、特にこの話はあらすじなど何も書くべきではないと思われるので書きません。
どうぞ読んでください。

【猫探偵正太郎シリーズ】

主人公の正太郎は、ペルシアもどきの雑種ネコ。ミステリー作家・桜川ひとみ宅に同居している。
桜川ひとみは、天然でお気楽な現代女性。これでミステリー作家が勤まるのかと心配になってしまうほど。正太郎の名前さえ、しばしば「クロちゃん」だの「タマちゃん」だの、適当な呼び名でごまかして平気である。

それに対し、正太郎は、日本語は完璧に理解し、文字も「まぐろ」くらいなら読めちゃう天才猫。人間顔負けの推理をして、殺人・殺猫事件の謎を解いてしまう。

それから、おもしろいのが、一番最後の「解説」。作家の図子慧(ずし けい)氏によるもの。氏は、「猫を飼うと、猫について語りたいことがブクブクとガスのように溜まって」くるいい、そこでネットに書き込みをしたり、猫友だちと「お互い自分の飼っている猫の話しかしないのですが」長電話したりしちゃうのだ、と、書き、そして、
延々と、自分の猫の話。柴田氏の本の解説なのに!(笑)

なんか、こんなところも、いかにも猫好きが集まっている感じで、かえってとても良いのであります☆

『猫探偵正太郎シリーズ』はこちら。

(2006年9月27日)

柴田よしき名『猫は引っ越しで顔あらう』
柴田よしき名『猫は引っ越しで顔あらう』
柴田よしき名『猫は引っ越しで顔あらう』
柴田よしき名『猫は引っ越しで顔あらう』

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

『猫は引っ越しで顔あらう』
探偵正太郎の冒険 文庫オリジナル

  • 著:柴田よしき(しばた よしき)
  • 出版社:光文社文庫
  • 発行:2006年
  • NDC:913.6(日本文学)短編推理小説
  • ISBN:4334740766 9784334740764
  • 303+Vページ
  • 登場ニャン物:正太郎、フルハタ(フルフル)、ニンザブロー(ニンニン)
  • 登場動物:しんのすけ(犬)

著者について

柴田よしき(しばた よしき)

1959年、東京生まれ。青山学院大学卒業。95年、初めての長編『RIKO―女神の永遠―』で第15回横溝正史章を受賞。幅広い作風で活躍している。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)

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