うめざわしゅん『ダーウィン事変』11巻

「種差別」問題を深く追求。
チャーリーは、人間を超える知能と、チンパンジーを超える身体能力を併せもつ、半分ヒトで半分チンパンジーの「ヒューマンジー」。恋人のルーシーは人間。チャーリーの宿敵といえる存在は、同じくヒューマンジーの弟オメラス。そして、彼らを取り巻く欲望の塊。あまりに暴力的な人間達。
生物の「種」とは何か。「種差別」とは何か。世界中で翻訳が進んでいる話題のマンガです。

ストーリー・あらすじ
眠ったままに見えるルーシー。彼女の意識はなんと「ゲームの中」に飛んでいた?ゲーム、といっても、ゲーム会社が創作したシューティングゲームとかではない。それは地球生物の「進化ゲーム」のことであり、グロスマン教授の頭の中でもある・・・とは?
一方のチャーリーたちはグロスマン教授の元へと急いでいた。ゴルトン研究センターへ。そこに多分、グロスマン教授も、兄のオメラスもいる。そんなチャーリーたちを待ち受けていたのは、化け物のような、キメラ・・・!

感想
いくらヒトとヒト以外の動物が合わさったとしても、あのような身体能力にはならないと思うのです。チンパンジーはたしかにヒトより様々な点で優れた能力を発揮しますし、生物はしばしば雑種強勢(ヘテロシス)という、どちらの親世代より優れた能力をもった子が生まれることがあるのは事実です。とはいっても、生身の体は生身のまま。猛烈なスピードで走る車に飛び乗ったり飛び降りたり、床が凹むほどたたきつけられても生きているばかりかその直後も動き回ったり。チャーリーはじめ、登場人物たち、すごすぎませんか?

なんといいますか、ここまでスーパーマンだらけだと、私にはもうこの作品全体がただのエンターテインメント、ヒーローが活躍するアクション漫画にしか見えなくなってきてしまいます。「種差別」を主題にアクションを描いているのではなく、超人的アクションの理由に種差別を持ってきただけかのように。
もちろん、ただのドンパチ漫画でここまで「人類」とか「種」とか「差別」とか「搾取」について深く突っ込んだ漫画は他に例をみないと思います。その点ではすごい。さすが国際評価の高い内容だと思います。
ただ、私の好みから言えば、もう、・・・暴力・流血・殺戮・破壊と混乱が多すぎて、最近はちょっとついていけない、というのが正直な感想です。ま、ここまで見たのですから、私の性格からしても終結まで見ますけれどね。読み出した本は、できるかぎり最後まで読み切る、これが私の基本姿勢ですから。
スーパーヒーローものがお好きな方にお勧めな作品となっています。もっと穏やかな、動物とのふれあいを愛でるような愛護作品を求めている方には、私としては積極的にお勧めする気にはなれません。

おぞましい搾取でしかない」


※著作権法に配慮し、本の中見の画像にあえてボカシをいれる場合があります。ご了承ください。

目次(抜粋)
- 第53話 rabbit hole
- 第54話 State of Emergency
- 第55話 traitor
- 第56話 Rational Animal
- 第57話 最後の扉
著者紹介
うめざわしゅん
作品集『パンティストッキングのような空の下』が「このマンガがすごい!」2017(宝島社)のオトコ編第4位に覧君子、話題になる。本作『ダーウィン事変』にて「マンガ大賞2022」大賞受賞、第25回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞住所、「このマンガがすごい!」2022(宝島社)のオトコ編第10位ランクイン、第50回講談社漫画賞(総合部門)受賞、フランスの第50回アングレーム国際漫画祭にてBDGest’Artsアジアセクション賞受賞、フランス・バンドデシネ評論家協会Pri Asie de la critique ACBD2023受賞など、数々の賞を獲得した。他作に『ユートピアズ』、『一匹と九十九匹と』、『ピンキーは二度ベルを鳴らす』、『えれほん』など。
『ダーウィン事変』11巻
- 著:うめざわしゅん
- 出版社:株式会社講談社
- 発行:2026年
- NDC:726(マンガ、絵本)漫画
- ISBN:9784065438251
- 159ページ
- モノクロ
- 初出:「アフタヌーン」2026年2月号~5月号・7月号
- 登場ニャン物:-
- 登場動物:-


