ウェルズ『通い猫アルフィーとジョージ』

ウェルズ『通い猫アルフィーとジョージ』

 

通い猫アルフィーシリーズ第3弾。

アルフィーは前作で猛烈に初恋したスノーボールと、晴れて相思相愛の仲となった。田舎でのバカンスを心から楽しむ2ニャン(もちろん人間の2家族と一緒に)。

ところが、良いことは長く続かない。スノーボールの家族に魅力的な仕事が見つかり、エドガーロードから引っ越してしまったのだ。

失意のどん底に沈むアルフィー。親友タイガーの慰めにも効果なし。

心配したクレアは、特効薬を思いついた。なんと新しく子猫を迎えたのだ。それは愛くるしい3ヶ月の子猫。名前はジョージ。

アルフィーは戸惑い、怒りすら覚える。この子猫とひきかえに、あのスノーボールを忘れろと?そんなことできるわけがないじゃないか!

しかし、アルフィーがジョージを溺愛するようになるまで時間はかからなかった。ジョージの愛らしさは飛び切りで、猫も人も一目みればたちまち愛するようになってしまうのだ。

その一方で、街では変な現象が生じていた。猫の写真があちこちに貼られるようになったのだ。字を読めないアルフィーたちは、最初は「美猫コンテストか?」なんて呑気なことを言い合っていたが、やがてアルフィーはチラシの本当の意味に気づく。

そして、アルフィーの人間の家族たちは、またそれぞれ問題や悩みを抱えるようになっていた。

人間たちと、猫達の問題を解決するため、アルフィーは子猫ジョージをつれて、また作戦を練ることになる。

* * * * *

このシリーズの中でもお気に入りの一冊です。

ジョージのかわいらしさ。文字で読んでいるだけの私まで「よち、よち」と撫でたくなるような愛らしさ。親友猫タイガーの献身は、人間の女たちのお手本にしたいくらいですし、快男児のごみばこは、今回もとても頼りになります。ミスターBというミステリアスな友人も得ます。さらに、あのサーモンにもけっこう良いところがあることがわかりますし、サーモンの飼い主夫婦も、今回ばかりはグッド・ジョブなのです。

と、最後の最後には誰もが幸せで円満そのものとなるのですが、それまでの道のりが、もう大変!

今回もアルフィーは心配しまくり、ときにはオロオロとうろつき、ときには精力的に東奔西走し、と、(猫なのに)ゆっくり休む暇もありません。英語には「猫には九生あり」なんて諺がある一方、「心配事は猫をも殺す」という諺もあります。アルフィー、君な猫なんだからもう少しゆっくりしようよ、そんなじゃ命がいくつあっても足りないよと言いたくなるような、アルフィーの活躍ぶり、そして、底知れぬ愛情の深さ。

いいなあ。

ところで、この作品でアルフィーの品種がわかります。それまではただの「灰色の猫」と表現されていたのですが、なんとブリティッシュ・ブルーでした。ブリティッシュ・ショートヘアーの中でもとくに美しく「永遠の傑作」といわれる被毛の猫達。日本では「ブルー」といえばロシアン・ブルーが有名ですが、私はずんぐりむっくり体型のブリティッシュ・ブルーの方が好みかな。

こうなると私の心配は、悪徳ブリーダーがアルフィー人気に目を付けてブリティッシュ・ブルーの繁殖なんか始めませんように、ということになります。

日本は動物愛護後進国などと言われていて、欧米の動物愛護先進国に早く追いつくべく、篤志家たちが日々努力を重ね、啓蒙にも努めています。その重要課題のひとつが法改正。悪質な繁殖業者(パピーミル)に対する規制や罰則を強めることは、今の日本に絶対に必要なことです。多くの人たちが必要だと考えているからこそ、これほど多くのボランティアたちが必死に動いているのです。

なのに、2020年7月22日、CFAとTICA(どちらも世界で認められている有力な猫血統書団体)は共同して、動物愛護法改正に反対する署名を集めるべく活動を開始しました。改正法の内容は、私からみれば「まだまだ手ぬるすぎ!冗談じゃない!」レベルなんですが、それもCFAやTICAにとっては「全てのブリーダーに大きく関わってくる内容」で困る(=儲からなくなる)から反対だそうです。

アルフィーのブリティッシュ・ブルーを含むブリティッシュ・ショートヘアーは、もとはといえばイギリス土着の猫達です。自然繁殖していた猫達の中から、人間が勝手に好みの猫を選んで「この子には血統書をつけて繁殖させて売ろう」と管理しはじめた猫達です。日本の三毛猫だってそう。あるボンボン尻尾の三毛猫を気に入ったアメリカ人が母国に連れ帰って「ジャパニーズ・ボブテイル」と品種命名して血統書をつけて売り出した。でももともとは、その辺にいたミケやタマの子孫です。

アルフィーがこんなに素晴らしい猫になったのは、つらい野良猫経験をしたからこそ。ですから、もしあなたがアルフィーシリーズを読んで猫を飼いたいと思ったならば、ぜひ里親募集の保護猫たちの中から選んでください。「血統書」というのは、どこどこの猫から生まれましたという”血統だけ”を保証する書類です、性格や健康の保証はどこにもありません。それに対し、保護されて里親募集される猫たちは、ボランティアさんたちが「この子なら飼い猫としてかわいがってもらえる」と安心して送り出すことを決めた猫達です。病気や怪我があってもしっかり治してから譲渡される猫達です。アルフィーのようになれる猫達です。

「通い猫アルフィーシリーズ」まとめ

ウェルズ『通い猫アルフィーとジョージ』

ウェルズ『通い猫アルフィーとジョージ』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『通い猫アルフィーとジョージ』

  • 著:レイチェル・ウェルズ Rachel Wells
  • 訳:中西和美(なかにし かずみ)
  • 出版社:株式会社ペーパーコリンズ・ジャパン
  • 発行:2017年
  • NDC:933(英文学)小説 イギリス
  • ISBN:9784596550637
  • 389ページ
  • 原書:”Alfie and George” c2016
  • 登場ニャン物:アルフィー、ジョージ、スノーボール、タイガー、ごみばこ、ピンキー、ミスターB、ほか多数
  • 登場動物:

 

著者について

レイチェル・ウェルズ Rachel Wells

『通い猫アルフィーの奇跡』が英紙サンデー・タイムズのベストセラーリスト入りを果たす。

「通い猫アルフィーシリーズ」まとめ

中西和美(なかにし かずみ)

おもな訳書に、ウェルズ『通い猫アルフィー』シリーズ、ハークネス『魔女の目覚め』、クレア『事件記者ソフィ贖罪の逃亡』、マッケナ『そのドアの向こうで』など。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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ウェルズ『通い猫アルフィーとジョージ』

9.3

猫度

9.0/10

おもしろさ

9.5/10

猫好きさんへお勧め度

9.5/10

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