アンギャマン『ラーメン赤猫』11巻

猫たちが運営するラーメン店。
調理も、接客も、経営も、掃除まで、全部猫!というだけでもすごいのに。なんと本物のトラも正規スタッフなんです。
ストーリー
ジュエルには夢があった。恩人の男性に再会すること。その人はホストだったから、ホストクラブを設立すれば会えるかも知れない。しかしホストクラブ設立のためには、お金を貯めることのほか、法的人格も取得する必要がある。夢の実現のため、ジュエルは「ラーメン赤猫」で働きなたら、法的人格取得の試験勉強にも励んでいた。
ところが、試験もせまったある日、その恩人の居場所が判明する。
↑と、ここまでが前巻までの内容。この第11巻で、ついにジュエルは恩人との夢の再会を果たすのだが。
目標を達してしまって、あれほど頑張っていたジュエルも、さすがにふぬけ気味。返事だけは威勢良いが、空元気なのは見え見え。法的人格取得試験が目の前にせまっているというのに。周囲はそんなジュエルをなんとかしてあげたいと気をもむが・・・

感想
この漫画のどこが好きか考えましたが、どの猫も一生懸命なのがいじらしいんですよね。人間はふつう、猫という生きものは、食っちゃ寝、食っちゃ寝だけの、だらけた生きものと考えがちですが、どうしてどうして。猫ってすごく一生懸命に生きています。ある意味、現代人よりずっと真剣に生きています。猫たちと暮らしていると、つくづくそう感じてしまうのです。猫って本当に真摯に生き、そして、真摯に死んでいくなあ、と。
この作品は、猫たちのそのまじめな生き方を、人生をなめて生きている我々人間に、わかりやすく教えてくれているような気がします。作者にそのような意図があるかどうかは知りません。ただ「猫がラーメン店をやったら面白いだろうな」程度の発想から始まったのかも知れません。けれども、私には、この猫たちの生き方に、すごく共感というか「猫って実はこういう生きもの」って思っちゃう部分があります。とくに野良猫たち。外で暮らす猫たちは、どの猫も例外なく、このラーメン店の猫たちと同じくらい(あるいはもっと命がけに)必死で、体も頭も使っていて、働き者です。

さて。新人のゆずちゃんが、しっかり店に馴染んできてくれたのはよかった。美人だし、頭もいいし、何事にも丁寧だし、すばらしい猫さんです。丑満丸うしみつまるさんの登場が長かったのも私としては楽しかったです。ミステリアスな黒猫さん。それから佐々木さん、「『人間社会で自立して生きる猫』を支援するのはボクのライフワーク」「百二十七杯目 君らしく」だなんて、あいかわらずカッコイイ猫さんですね。

そして、私の一番の推し、トラのクリシュナちゃん!登場も多くてうれしい。背景に立っていてくれるだけで、そのコマがたちまち色鮮やかになります。「百三十一杯目 新春特別編 蕎麦屋赤猫」でも、自分の性格とは真逆な演出をやらされたりと、読者を楽しませてくれます。


※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

目次(抜粋)
- 百二十一杯目 まち猫きたれり
- 百二十二杯目 忙しい方がいいよ
- 百二十三杯目 このままじゃダメだ
- 百二十四杯目 チャレンジ!
- 百二十五杯目 これからのコト
- 百二十六杯目 by the cat for the cat
- 百二十七杯目 君らしく
- 百二十八杯目 伝法灌頂(でんぽうかんじょう)
- 百二十九杯目 年末赤猫商戦
- 百三十杯目 リラックス
- 百三十一杯目 新春特別編 蕎麦屋赤猫
- 百三十二杯目 残り香
- 百三十三杯目 ジャッジ
『ラーメン赤猫』11巻
- 著:アンギャマン
- 出版社:株式会社集英社 ジャンプコミックス
- 発行:2025年
- NDC:726(マンガ、絵本)マンガ
- ISBN:9784088845425
- 203ページ
- カラー、モノクロ
- 初出:少年ジャンプ+
- 登場ニャン物:文蔵、サブ、ハナ、佐々木、ジュエル、山郷(やまさと)ゆず、テトラ、丑満丸(うしみつまる);クリシュナ(虎)
- 登場動物:-
