ウェルズ『通い猫アルフィーのはつ恋』
通い猫アルフィーシリーズ第2弾。
クレアとジョナサンは結婚し、ジョナサンの家に一緒に住むことになった。
フランチェスカの家族は、それまでの狭いフラットから、夫トーマスのレストランの二階へ引っ越した。新居は頑張れば猫の足でも訪問できない距離ではないが、残念ながら毎日通うには遠すぎた。
ポリーとマットの夫婦もフラットから引っ越した。といってもこちらは’偶然にも’ジョナサンの家の真向かいの家だった。
というわけで、クレア・ジョナサン・フランチェスカ達・ポリー達と4軒の家に通っていたアルフィーが通う家は、今は2軒に減ってしまった。
ふつうの猫なら、2家族に大事にされ、さらにもう1家族の別宅があれば十分だろう。けれどもアルフィーは不安だった。もう1軒、通える家がほしかった。
だから隣の48番地に新しい家族が引っ越してきたときは期待した。新しい家族になってくれるかもしれない?
が。
その家族はすでに猫を飼っていた。そしてアルフィーは、その子を見たとたん、まさに一目ぼれ。息をのむほど美しい白猫のスノーボール。しかしなぜか彼女は固く心を閉ざしていて、アルフィーも誰も決して受け付けない。そして彼女の人間の家族も、頑なに心を閉ざしたまま、近所の誰とも一切交流しようとしなかった。何か大きな不幸を抱えた家族に違いなかった。
恋する相手の心をつかむためにも、まず人間の家族を幸せにしてあげなければ!
アルフィーの大活躍が始まる。
* * * * *
恋煩いでオタオタ、アタフタしっぱなしのアルフィーがかわいおかしい1冊です。
アルフィーはなんとかしてスノーボールに近づきたいと、毎日庭をのぞきこんでは、ああでもない、こうでもないと悩みます。一方では、近所の嫌われ者の暇人夫婦ヴィクとヘザーも、この家族に興味津々、ストーカーのように監視をはじめます。あんなにコソコソ隠れているのは犯罪者だからに違いないと決めつけ、私たちの平和なエドガーロードからなんとか追い出さなくては、といきまくのです。アルフィーは心配で仕方ありません。あの家族が出ていくということはスノーボールも出ていくということになり、そんなのゼッタイ嫌だ!あの家族が犯罪者なはずはない。抱えきれないほど大きな悲しみを抱えているから人目を避けているだけの、むしろ気の毒な家族なんだ、と、猫の直感で確信し、監視夫婦の悪だくみを阻止しようと四苦八苦。
よりにもよって、そんな忙しい最中に、親友のタイガーから思いがけない話も聞かされ、あわれなアルフィー、ますますオロオロ。
人の言葉も話せない、パソコンも魔法も使えない、ふつうの猫のアルフィーが、どうやってこの難題を解決するのでしょうか?楽しみに読んでください!
最後に、アルフィーの言葉を引用。
人間は家を”我が家”と呼ぶけれど、ぼくは”幸せと悲しみの物語がある場所”とも思っていて、だからこそ引き付けられずにいられない。
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※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『通い猫アルフィーのはつ恋』
- 著:レイチェル・ウェルズ Rachel Wells
- 訳:中西和美(なかにし かずみ)
- 出版社:株式会社ペーパーコリンズ・ジャパン
- 発行:2016年
- NDC:933(英文学)小説 イギリス
- ISBN:9784596550330
- 399ページ
- 原書:”A Cat Called Alfie” c2015
- 登場ニャン物:アルフィー、タイガー、スノーボール、サーモン、ごみばこ、エルビス、ネリー、ロッキー、トム、ほか
- 登場動物: