Natsumi『ベジタリアンは菜食主義ではありません』『世界を変えたくて僕を変えた』

Natsumi『ベジタリアンは菜食主義ではありません』『世界を変えたくて僕を変えた』

あなたは、産業動物達の苦難を、彼らがどんな扱いを受けているかを、御存知ですか?

まず、本の表題について。「ベジタリアンが菜食主義ではないって、どういうこと?」と疑問に思う人が多いのではないでしょうか。ベジタリアンについて知っている人であれば周知の常識でも、そうでない人にはワケわからないかもしれません。

せめて解説的副題でもついていれば良かったのですが。

つまり、こういうことです。

Vegetarian(ベジタリアン)の語源は、英語の Vegetable(=野菜)ではなく、ラテン語の Vegetus(=活力がある、精力旺盛)に由来します。だからベジタリアンとは元々は「健康で活力がある人」を意味する言葉なのです。本来は「野菜ばかりを食べる人」という意味ではないのです。

Natsumi『ベジタリアンは菜食主義ではありません』『世界を変えたくて僕を変えた』

しかし、私の持っているラテン語辞書(COLLINS GEM LATIN DICTIONARY, ISBN9780004586441)に、vegetus はもちろん載っていますが、vegetarian は載っていません。ベジタリアンという言葉は、英語圏の人間が作った英語ってことのようですね。最初にこの言葉を作った人、やっぱりベジタブル(野菜)という言葉を何より強く念頭においていたんだろうなと思わずにいられないのは、私の邪推じゃないと思うのですが?

そして、現状、ベジタリアン、イコール菜食主義、と理解されています。その根底にあるのは「肉食はよくないから、野菜など植物を食べる」という考え方。なぜ肉食を否定するかは人それぞれで、古くは宗教上の規律から、倫理面や動物愛護の問題、健康や栄養学の考慮、体質や好み、最近は環境問題(SDGs)の観点からと色々で、食べる(食べない)種類も実に様々ですけれど、共通して言えるのは、家畜哺乳類の肉(牛、豚、羊等)は食べない、ということでしょうか。

前書きが長くなりました。

この2冊は、一般的なベジタリアンよりさらに厳密な純粋菜食(完全菜食)主義者=ビーガン(vegan)について書かれたものです。なぜビーガンになったか、というよりむしろ、著者がなぜビーガンという生活を選ばずにいられなかったか、そして、なぜビーガンを勧めているのか。

もっぱら動物愛護の観点から。動物達のおかれた、あまりに悲惨でむごたらしい環境。使い捨てにされる命。動物達の苦しみ・悲しみ・感情いっさいを無視した商業主義。その、あまりの残酷さを知ってしまったら、もう肉なんて食べられない。

フォアグラ、キャビア、ペキンダック。それらが虐待以外の何者でもない状態から得られた産物であることは、一般の人も御存知でしょうけれど(御存知ですよね?)。

ふつうの牛肉豚肉鶏肉、どれも動物達の犠牲と苦しみの上になりたった食材です。牛の繋ぎ飼い、豚のストール、鶏のバタリーケージ、等々。利益だけを追求した結果がこれです。

Natsumi『ベジタリアンは菜食主義ではありません』『世界を変えたくて僕を変えた』

動物が利用されるのは、「食」だけではありません。

たとえば毛皮。毛皮のコート等はもちろん、毛皮のストールなど和服に合わせてさえ人気ですが(日本では仏教上の理由から動物の屠殺は嫌われていたはずなのに)、その毛皮、どうやって剥がされたか、御存知ですか?寿命をまっとうした動物の死後、とか、猟師が撃った野生動物から、でありません。そんな微量で品質の揃わない毛皮、商業ベースに合うはずありません。

ファッション用の毛皮のほとんどすべては、生きたまま剥がされたものです。死んでしまうと剥がしにくくなるから。まだ生きている動物の手足を切り、吊るすか押さえつけるかして、生きたまま剥がします。全身の皮膚を剥がされても動物は即死はできません、苦しみながら徐々に弱って死んでいきます。

動物愛護という観点を外しても。

たとえば、地球温暖化ガスの50%以上が畜産によるものと言われていたり。
たとえば、世界では毎年全人口の2倍分以上の穀物が生産されているにもかかわらず、その6割が先進国の家畜の餌に廻されてしまっているため、毎日4万人もの餓死者が出ているとか。
さらにたとえば、家畜飼育のために膨大な真水・石油燃料・電気・ガス・化学薬品や薬、他が使われているとか。

そういう、さまざまな、不都合な現実を知ってしまったら、・・・

もうビーガンになるっきゃないでしょ?

という結論にひっぱりたいマンガです。

Natsumi『ベジタリアンは菜食主義ではありません』『世界を変えたくて僕を変えた』

私自身、現在はビーガンに近い生活ですけれど(あくまで「近い」ね。完璧なビーガンは困難すぎる)、私のは、単に動物が好きだから消費できなくなっちゃった、という感情的な理由だけで。健康問題とか環境問題とはあまり考えていなかった(汗)。

そんな私も以前は肉をたくさん食べていました。母親は「肉だけは食べなさい」と口癖のように繰り返す人でしたし(ただし彼女のは単なる「白人はよく肉を食べる」という白人崇拝からきた思い込み、栄養学とかそんなのではありません)、肉を食べなかった日はなかったくらいでした。でも心の底ではずっと「動物好きなのに?」と矛盾を感じ続けていて、そしてある日突然、そうだ今日から(明日からですらなく)肉・魚は止めようと思いつき、食べなくても意外なくらい全然平気だったので、その後間まもなくビーガンになっちゃったのでした。

ビーガンになる理由はなんでも良いと思います。完璧なビーガンになる必要もないと思います。

それでも。

このサイトを訪れてここまで読んだ方なら、きっと動物好きなはず。だってここはバリバリの猫愛護サイトなんですから。猫が、動物が、少しでもお好きなら、産業動物として消費される動物達のことも、どうか知ってあげてください。そして、できる範囲でよいのです、せめて週に一日、ビーガン食の日を設けみてください。それだけでも、世の中がすこし違ってくると思うのです。

Natsumi『ベジタリアンは菜食主義ではありません』『世界を変えたくて僕を変えた』
どこからともなく現れたブタの花ちゃん。事実を知り、主人公はそれまでの考えを改めていきます。
Natsumi『ベジタリアンは菜食主義ではありません』『世界を変えたくて僕を変えた』
肉食は菜食に比べ、非常に不効率なのです。
Natsumi『ベジタリアンは菜食主義ではありません』『世界を変えたくて僕を変えた』
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※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

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著者について

Natsumi

05年、HP「菜食のススメ」を読んでベジになり、現在ビーガン☆ ’10年、ベジ漫画1作目「ベジタリアンは菜食主義ではありません」を、 ’16年に2作目「世界を変えたくて僕を変えた」を発売。 (楽天、Yahoo!ショッピング、当ブログにて絶賛発売中!) NPO法人アニマルライツセンター会報にて、四コマ連載してます♡

(著者プロフィールは著者ブログからのコピペです。)

『ベジタリアンは菜食主義ではありません』『世界を変えたくて僕を変えた』

  • 著:Natsumi
  • 出版社:(自費出版 購入はベジ漫画Natsumiのビーガン工房他)
  • 発行:2010年、2016年
  • NDC: 480(動物学) 489.53(哺乳類・ネコ科) 645.6(家畜各論・犬、猫) 726(マンガ、絵本) 748(写真集) 913.6(日本文学)小説 914.6(日本文学)随筆、エッセイ
  • ISBN:-(自費出版)
  • 73ページ、143ページ
  • 登場ニャン物:
  • 登場動物:ブタ、ウシ、ニワトリ、ほか家畜・産業動物たち
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