日下圭介『証人は猫』

日下圭介『証人は猫』

 

テレビでは「女動物医事件簿」という名前で映像化されたシリーズの2作目。

27歳の美人獣医、栃尾彩子が、動物たちを診察しながら謎を解く。
動物たちが何を見たのか。
動物たちの身に何が起こったのか。
トリマーで受け付けも兼ねているユキもしばしば一緒に走り回る。

院長・榎は、病弱な妻を実家に帰して、毎日飲んだくれている。
獣医としての腕は確からしいけど、こんな獣医、嫌だなあ。
著者の眼が、どうも榎に対して好意的に読めるのだが、・・・そりゃ男としては、雇われの身ではなく病院の長で、美人で若くて仕事もできる従業員ふたりに、妻もいて、でも実質独身みたいな生活で、好きなだけ酒も飲めて、羨ましい限りだろうけど、でも、・・・私は嫌だ。
頻繁に二日酔いの男なんて獣医師失格だと思う。
動物は人間の何倍も鼻が良いのだし、また、採血針一本刺すにも、動物の体は人間のよりずっと小さい上に暴れる=人間の医師以上に細心の注意を必要とするのだから。

第一話 ジャズが好きな犬

その夫婦の仲は冷え切っていた。
妻は、夫に殺されるのではないかという不安を感じていた。
妻が一人で就寝した深夜、ガス漏れ事故があったが、あわやというところで愛犬が手を噛んで起こしたので、無事だった。
が、美人獣医、彩子は疑問を持つ。

第二話 人みしりな犬

人見知りな犬と、やる気を失った警察犬。
2頭の犬が、殺人事件の謎解きのカギとなる。

第三話 鳩の告発

傷ついた伝書バトが運んだ写真が無実を証明?
それとも、逆に、犯罪を証明?

第四話 三本脚の犬

見知らぬ犬が、彼女の自転車ばかり、追いかけてくる。
その犬は脚を怪我していて3本足。
実は彼女、少し前に車で何かを轢いたような記憶があった。
まさか、あの時の犬が顔を覚えていて?

第五話 宙を舞う猫

猫が誤ってマンション9階から落ち、男は動物病院へ駆け込んだが、亡くなってしまった。
ところが、ちょうどその時間、離れた場所で殺人が目撃されていて、犯人はどうもその男らしいという。

・・・この話、なんだかなあ。
猫をまるでモノみたいに扱っているというか。
最後の彩子の言葉もひどい。
愛猫を心配する飼い主に「死んだわ。でも代わりに、三毛の子猫を飼ってくださらない?」って・・・
まるで「アンパン?食べちゃったわ。でも代わりに、クリームパン、召し上がる?」みたいな気楽さで!
私がうちの子をそんな扱いされたら、どこの誰だろうと絶対死ぬまで許さない!まして獣医が!

第六話 ペンションに来た犬

流行らないペンションにきた、犬連れの男女。
その後、殺人事件が。

第七話 隻眼の犬

優れた腕前の料理人と、明るい妻。
ふたりに悲劇がおこった。
その後、二人が飼った犬は、あるスパイスの匂いが大好きな犬だった。

(2003年12月10日)

日下圭介『証人は猫』

日下圭介『証人は猫』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『証人は猫』

  • 著:日下圭介(くさか けいすけ)
  • 出版社:祥伝社ノンノベル
  • 発行:1992年
  • NDC:913.6(日本文学)短篇ミステリー集
  • ISBN:4396203934
  • 214ページ
  • 登場ニャン物:コロン、サンゾウ
  • 登場動物:犬、伝書バト、ヘビ

 

目次(抜粋)

  • 第一話 ジャズが好きな犬
  • 第二話 人みしりな犬
  • 第三話 鳩の告発
  • 第四話 三本脚の犬
  • 第五話 宙を舞う猫
  • 第六話 ペンションに来た犬
  • 第七話 隻眼の犬

 

著者について

日下圭介(くさか けいすけ)

東京生まれ、和歌山、山口で少年時代を送る。早稲田大学卒業後、朝日新聞入社。昭和50年『蝶たちは今・・・・・』で第21回江戸川乱歩賞受賞。昭和57年日本推理作家協会短編賞受賞。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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