マクラウド『猫が死体を連れて来た』

マクラウド『猫が死体を連れて来た』

猫がくわえてきたのは、教授の頭・・・につけるカツラ!?

シャンディ教授シリーズ第四弾。

ストーリー

ベッツイ・ローマックスはある朝、猫のエドモンドがくわえてきたものをみて、思わず声高く叱ってしまう。かわいぞうな死骸をひきずりこんだりしちゃだめじゃないの!けれど、その毛むくじゃらな物体は犠牲者ではなかった。階下に間借りしているアングレー教授の、あの赤毛のカツラだった。

ローマックス夫人は教授の掃除もひきうけていたから鍵を持っている。教授にバレる前にこっそりカツラを返しておこうと、見つかったときの言い訳のケーキを片手に階下にいったが、不思議なことに、教授の姿がみえない。この寒い時期のこんな早朝にいないなんて変だ。そういえば昨夜は例のクラブに出かけたはず。まさか帰路、老いた脚が滑って路上に倒れているとかでは、と心配して、探しに出たところ、教授が死んでいるのを発見してしまった。

教授の死は事故ではなく他殺ではないかと疑ったローマックス夫人はシャンディ教授に電話をして調査を依頼する。

すると、第二の殺人事件が起こって・・・

感想

著者のマクラウドは、オフィスに多数の猫達を住まわせていたそうです。猫好き推理作家が猫を登場させた作品を書いたとなれば、さぞ猫が活躍するのだろうと期待したのですが、残念!猫のエドモンドの活躍は冒頭に教授のカツラをくわえてくた件だけで、その後は何もしません。たまにその辺をうろつくだけです。

とはいえ、小説そのものは面白かったので良しとしましょう。ミステリーとしては、ちょっとヒントが弱い気がしないでもなかったけど、そんな感想は私の推理力が貧弱だというだけかもしれませんし。そんなことで人を複数殺す?というような動機も、ミステリー系で犯人の動機が弱いなんてふつうにあることですしね。それよりエドモンドのカツラ疑惑がスッキリ解明されなかったのがちょっと不満。

ピーター・シャンディの本職は、バラクラヴァ農大の応用土壌学教授ですが、学者としてより、「不可解な謎を解くのが得意」という能力で広く知られている人物です。警察もシャンディには絶大な信頼を置いていて、全面的に協力してもらっています。

小説全体は、アメリカン・ミステリーに良く見られることですが、主に会話で進められています。登場人物も多く、それを名前で呼んだり名字で呼んだりしているので、私なんかは「えっと、誰だっけ?」なんてことも。(汗)。そして、最後の急展開と、犯人の逮捕。白状しますと、私には逮捕まで犯人は全然わかりませんでした。やはり私に推理力はなさそうですね。

暴力や残虐な殺戮場面などは出てきません。主人公は大学教授、被害者も教授ですが、専門分野的な堅苦しい話も出てきません。ですから誰でも気楽に読める作品となっています。

ところで、アメリカ発の推理小説を読んでいて時々思うのですけれど、登場人物たちはしばしば、殺人事件のおこった直後の家や、つい昨日殺された人が住んでいてまだその荷物が残っているようなアパートにも、平気で移り住んでくるんですよね。日本では「事故物件」は相場よりかなり安くしないと借り手はつかないというのに。日本人とアメリカ人の感覚の違いでしょうか?

マクラウド『猫が死体を連れて来た』

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

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『猫が死体を連れて来た』

  • 著:シャーロット・マクラウド Charlotte MacLeod
  • 訳:高田恵子(たかだ けいこ)
  • 出版社:株式会社東京創元社 創元推理文庫
  • 発行:1989年
  • NDC:933(英文学)長編小説
  • ISBN:9784488246068
  • 341ページ
  • 原書:”Something the cat dragged in” c1983
  • 登場ニャン物:エドモンド
  • 登場動物:-
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