村上春樹『ノルウェイの森』(上・下)

愛情=理解ではない。

どれほど愛していても、相手を理解できているとは限らない。むしろ理解できていない場合が多いかも知れない。一方、愛していなくても理解しあえる相手もいる。だから人は孤独なのだ。

ストーリー

ワタナベは大学生、唯一の親友キズキは17歳で自殺した。キズキの彼女だった直子と今はつきあっている。が、直子には精神障害があった。療養施設に入り、レイコさんという年上の女性と仲良くしていた。

ワタナベはひとりでいるのが好きで、友達はほとんどいない。多少とも理解しあえる相手は寮で一緒だった永沢さんくらいだ。同じ大学生の小川緑とも会っているが、彼女にはちゃんした彼氏がいる。

ワタナベは、永沢さんのようにしっかりとした自分をもっているわけではなく、その他大勢のように世の中にうまく混入して流れていけるわけでもなく、直子と緑というふたりの女の子の間で揺れながら、二十歳という青春をよろよろと歩いている。

村上春樹『ノルウェイの森』

感想

猫が出てくるのは、下巻の後半1/3くらいからです。「かもめ」という、生後半年くらいの雌の白猫です。「僕(ワタナベ)」が引っ越した家(離れ)にきた猫で、おそらく野良猫だった子でしょう。

小説の中で、猫はただの背景の一部です。「僕」がときどき食べ物を与えたり、膝にのせてなでたりするだけで、重要なパートはなにも請け負いません。猫でなくても、子犬でも文鳥でもぬいぐるみでもかまわない立場です。

とはいえ、やっぱり猫が出てきたなあ、とは思いました。村上春樹の作品の多くに、どこかしら猫が登場しますから。『ノルウェイの森』は猫目当てで読んだ本ではありませんが、読んでいるうちに、こういう内容で猫が出ないはずはないと覚悟はしました。覚悟、なんて言葉は大げさですけれど、でも、猫が登場したらレビューを書かなきゃならないし、読む本ごとにレビューを書くって正直かなり面倒くさいことでもありますから。(なら書くな?にゃは。)

 

実は私、このあまりに有名にして歴史的大ベストセラーなる作品を、ずっと「積んどく」していたのでした。今回、やっと、初めて読みました。そして正直な感想は・・・ぜんぜん面白くなかった(汗)・・・内容がセックスばかりという点を別にしても。

読む時期を間違えたのです。文学作品には、それぞれ、読むべき年齢や環境があります。適切な時期に適切な状況で読めば、一生を左右しかねないほどの感銘・影響を受ける作品であっても、時期や状況を間違えるとつまらない本になってしまいます。私は『ノルウェイの森』は十代か、遅くとも二十代前半で読むべき本でした。これはあくまでも、私にとっては、という意味です。十代で全然わからない人もいるだろうし、70代ではじめて読んで大感銘を受ける人もいるでしょう。私には、しかし、読むのが遅すぎました。

ときどき、そういう「世界的名作」があります。私は、トルストイ『アンナ・カレーニナ』や夏目漱石『明暗』等を高校生で読んでつまらないと思い、30代で再読して素晴らしいと思いました。そう、若すぎた場合はまだ良いのです。後年再読すればよいのですから。

残念なのが、今回のように遅すぎた場合ですね。サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』やフィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』等も、私は読む年齢が遅すぎて楽しめませんでした。その『ギャツビー』がこの『ノルウェイの森』で絶賛されているのは奇遇?いえ、当然でしょうか?

ということで、『ノルウェイの森』、私としては、10代後半から20代前半の、つまり主人公と同じくらいの年齢のときに初読されることをお勧めします。恋愛とか、孤独とか、喪失感、疎外感、なのに人恋しさ、そういうものに強く共感できる若い心のうちに。そうやって一度読んでしまえば、その記憶が残って、その後何歳になっても何回でも再読して楽しめるんじゃないかって気がします。そんな作品でした。

村上春樹『ノルウェイの森』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像にあえてボカシをいれる場合があります。ご了承ください。

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(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)

『ノルウェイの森』(上・下)

  • 著:村上春樹(むらかみ はるき)
  • 出版社:(株)講談社 講談社文庫
  • 発行:2004年
  • NDC:913.6(日本文学)長編小説
  • ISBN:9784062748681 9784062748698
  • 302、293ページ
  • 初出:1987年講談社
  • 登場ニャン物:かもめ
  • 登場動物:-
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