南條竹則『猫城』
猫町に迷い込んだ男が出合う不思議。
生まれは裕福な御曹司、が、お決まりの道をたどって、すっからかん。
文字通りの一文無しとなったとき、猫に誘われてある温泉町に着く。
そこは、猫町。
なぜか宿代は猫が工面してくれるし、温泉は各種様々入り放題だし、食事は「猫ひげ」と名乗る不思議な老人が毎日おいしいものを作ってくれるし、うまいことずくめの生活のようだったが・・・やがてニャンスクリット語の筆記を強制されて・・・
書きようによってはおどろおどろしくなってしまいそうな、幻想的な話を、さらりと書いて、なかなか洒脱な雰囲気が良い。
文体は、自分のことを吾輩といっているところなど、確かに漱石を意識しているようだが、堅いというほどでもなく、これからの季節こたつに当たりながら読むにはちょうどよい本かもしれない。
温泉と猫が好きな人に特にお勧め。
(2002.11.29)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『猫城』(ねこじょう)
- 著:南條竹則 (なんじょう たけのり)
- 出版社:東京書籍
- 発行:2001年
- NDC:913.6(日本文学)小説
- ISBN:4487796946
- 219ページ
- 登場ニャン物:政宗、チビ、トラ、タマ、トイフェル、丹丹
- 登場動物: -