赤瀬川原平『猫の宇宙 向島からブータンまで』
猫嫌いを猫好きにした猫の置物たち。
猫はあまり好きじゃなった。むしろ嫌いだった。(中略)どうも動物が駄目だったのだ。
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ところが、友人の南伸坊氏の庭で子猫が生まれて、妻と娘が黒い毛糸玉を一つ受け入れると表明しちゃったのだ。2対1ではかなわない。
こうして民主主義で、猫と暮らすことが決定されてしまった。
仕方ないので、著者は猫の置物をコレクションし始めた。実物は苦手だからまず「置き猫」から慣れようという計画だ。コレクション癖のある著者は、どんどん集めてしまい、そして、
いまでは結局ぼくも猫が好きになってしまった。
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街角で撮った猫達の写真集。
本物の猫だけでなく、町の風景の中に猫の置物(主に瀬戸物)を置いて撮った写真も多い。
著者のコレクションの「置き猫」たちである。塀の上、ゴミ箱の上、植え込みの中、バケツの横・・・
絵になりそうな場所に、猫をちょこんと置いて、撮影しているのである。
だから、ふつうなら不自然なはずの場所に、瀬戸物の猫があったりする。なのになぜか、風景にしっとりマッチしている。
もちろん、本物の猫達も多く撮影されている。いずれにしても、下町には猫がよく似合う。
かわいらしさの点数が低めなのは、私はやっぱり本物の猫の方が好きだという個人的嗜好から。
写真としては面白いと思う。
(2003.12.21)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『猫の宇宙』
向島からブータンまで
- 著:赤瀬川原平(あかせがわ げんぺい)
- 出版社:中央公論新社 中公文庫
- 発行:2001年
- NDC: 748 写真集
- ISBN:412203812X
- 127ページ
- カラー
- 登場ニャン物:多数(置物の猫も)
- 登場動物: -
目次(抜粋)
- 猫の宇宙
- まえがき
- 猫とぼく
- 猫と女
- 猫と経費
- 猫と雀
- 猫と人間
- あとがき