石黒由紀子『猫は、うれしかったことしか覚えていない』

石黒由紀子『猫は、うれしかったことしか覚えていない』

絵:ミロコマチコ。

わずか2ページから、せいぜい3ページの、ごく短いエッセイ集です。猫のコウハイと豆柴のセンパイの話がメインですが、ほかの猫たちの話も多く出てきます。量にして半分近くが他の猫たちの話?よほど猫(の飼い主)の知り合いが多い方なんだなあと感心するほど。

どれも読み切りです。続き物はありません。ですから、ちょっとした空き時間、待ち時間、隙間時間にも読めます。通勤通学の電車の中や、病院の待合室で、ちょこちょこ読むには理想的。もちろん、どっかり腰を据えて一気読みするも良し。つらい話や悲しい話はありませんから、読んで落ち込むこともありません。猫あるある、そうそう猫ってそうなのよね、という話ばかりです。

 

石黒由紀子『猫は、うれしかったことしか覚えていない』

 

でも、ですね・・・

タイトルの「猫は、うれしかったことしか覚えていない」、これだけはちょっとウソですね。猫は、逆に、恐かったことこそ、よく覚えていると思います。だって元々は単独生活の肉食獣なんですもの。危険なことは1回で覚えて決して繰り返さない、それこそ、たったひとりで生きていく上で、とても重要なことだったはずです。危険なことをコロリと忘れて繰り返すようでは、9つあると言われる猫の命だって長くはもちません。だから飼い主としては困ってしまうこともしばしばです。動物病院で一度いやなことをされただけで、キャリーは怖がるは、「びょういん」という発音まで覚えて逃げ回るはで、その賢さに手を焼く飼い主のどれほど多いことか。

とはいえ、うれしかったことも覚えている、というのは事実。一度おいしい缶詰をあげただけで、缶詰を開ける音を覚えて、どこにいてもすっとんで来る、これは皆さんご存じですよね。で、仕方なく、人間用のコーン缶の他に猫缶も開けるはめにおちいったり (=^..^=)ミャー。猫って本当におねだり上手です。

猫と一緒に暮らしている方におすすめな一冊でした。最後に、そうかもしれないと思った一文を↓に。野生猫や野良猫はともかく、飼い猫はその通りでしょう。

 

猫は、暇と遊ぶために生きているのかもしれません。
(page 175)

 

石黒由紀子『猫は、うれしかったことしか覚えていない』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

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著者について

石黒由紀子(いしぐろ ゆきこ)

著書に『豆柴センパイと捨て猫コウハイ』、『犬猫姉弟センパイとコウハイ』、『しあわせ4コマ 柴犬センパイと捨て猫コウハイ』、『楽しかったね、ありがとう』など。
(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)

『猫は、うれしかったことしか覚えていない』

  • 著:石黒由紀子(いしぐろ ゆきこ)
  • 絵:ミロコマチコ
  • 出版社:株式会社幻冬舎 幻冬舎文庫
  • 発行:2021年
  • NDC:914.6(日本文学)随筆、エッセイ
  • ISBN:9784344430532
  • 212ページ
  • モノクロイラスト(カット)
  • 初出:2017年単行本
  • 登場ニャン物:コウハイ、その他多数
  • 登場動物:センパイ(豆柴)
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