ブラウン,R.M.『病院が嫌いな猫』

『トラ猫ミセス・マーフィ』シリーズ 第9弾。
病院の古いボイラー室で設備管理主任が殺された。
嫌われ者だったとはいえ、殺されるほど嫌われていたとは思えず、女郵便局長・ハリーの好奇心がうずきだす。
うずきすぎて、病院に忍び込んでしまった!
そこへ男たちが現れ・・・
身震いしながら、ハリーは立ち上がりかけた。
けれども、立ち上がることはなかった。彼女が最期に耳にしたのは「ガツン」という音だった。
(p.156)
愛するハリーが襲われたとあっては、とら猫ミセス・マーフィ、デブ猫ピュータ、コーギ犬ティー・タッカーの3者が、黙っているはずはない。
彼らは動物ならでの嗅覚と、感と、視点の低さを武器に、事件調査に乗り出す。
そんな中、恒例の「キツネ狩り」が行われた。
「狩り」と呼ばれてはいるが、正確には「キツネ追い」だ。犬を連れ、馬に乗って、山野を自由に駆け巡り、キツネを探すゲームだ。
走り回ったあとはもちろん、パーティーである。
その直後に、また殺人事件がおきた。
今度の被害者は誰からも好かれる人物だった。
嫌われ者と、人気者。
ふたりの被害者を結びつけるものとは?
他に殺されそうな人物は?
やはり病院しか接点がない。
若い婦人警官のクープ、ハリー、それから動物たちは、また病院に忍び込む・・・
軽快なテンポと軽妙な会話が魅力の「トラ猫ミセス・マーフィ」シリーズ。
今回も動物たちが大活躍!
また、今回もアメリカの歴史が話に絡んでくる。
ヴァージニア洲アルベマール群クロゼットという、どこにでもありそうな小さな田舎町にも、奴隷制度時代の負の遺産があった。
その負の遺産と、連続殺人事件が、思わぬところで結びつく。
(2011.10.16)

ブラウン,R.M.『病院が嫌いな猫』
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『病院が嫌いな猫』
トラ猫ミセス・マーフィーシリーズ
- 著:リタ・メイ・ブラウン/スニーキー・パイ・ブラウン Rita Mae Brown and Sneaky Pie Brown
- 訳:茅律子(かや りつこ)
- 出版社:早川書房ハヤカワ文庫
- 発行:2011年
- NDC:933(英文学)小説 アメリカ
- ISBN:9784151707599
- 456ページ
- イラスト
- 原書:”Claws And Effect” c2001
- 登場ニャン物:ミセス・マーフィ、ピュータ
- 登場動物:犬、馬、オポッサム、その他