ブラウン,R.M.『雪の中を走る猫』

『トラ猫ミセス・マーフィ』シリーズ 第2弾。
1巻目では、人間と動物の会話が入り乱れて少々紛らわしく感じたが、この2巻目からは人間は「 」、動物は“ ”と分けてあるので、ずっと読みやすくなっていた。
私と同様、紛らわしく感じた人が多かったのかも知れない。
この原題は “Rest in Pieces”(バラバラになって休め)、もちろん “Rest in Peace”(やすらかに休め)のしゃれだ。
その通り、バラバラ殺人事件が発生する。
ミセス・マーフィの相棒、コーギー犬のタッカーが、とんでもないものを見つけたのだ。
それは、切断された人間の腕。
さあ、小さな町は大騒ぎ。
ここでもトラ猫のミセス・マーフィーとティー・タッカーがすばらしい活躍をみせる。
*****
ひとつ、ちょっとほっこり、そしてまた、これは真実かもしれないと思った個所。
動物愛護協会でのシーンだ。
彼女はボール箱のなかに手を入れ、両手にそれぞれ子猫を載せて取りだした。つぎに、取り出した二匹をブレアの胸に預けた。「ブレア、これはお金で買える唯一の愛情よ。あなたにあげるクリスマス・プレゼントは、ほかに思いつかないわ」
灰色の子猫はすでに目を閉じて、ゴロゴロ喉を鳴らしていた。そこまで到達していない三毛猫のほうは、ブレアの顔をためつすがめつしていた。
「うんといってくれ」フェアは早くも、動物愛護協会の養子縁組申込用紙のうえにペンをかまえていた。
「うん」ブレアは顔をほころばせた。「つぎは、この子たちの名前だけど何がいいだろう?」
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救助され保護されすぐ新しい家が見つかった子猫たちはラッキーだし、それに、そうですね。お金で人間の愛情は買えない場合が多いけど、わずかなお金を出して保護猫を引き取って愛せば、必ず、途方もない愛情を返してもらえる、それも事実です。
(2003.5.30)

ブラウン,R.M.『雪の中を走る猫』
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『雪の中を走る猫』
トラ猫ミセス・マーフィーシリーズ
- 著:リタ・メイ・ブラウン/スニーキー・パイ・ブラウン Rita Mae Brown and Sneaky Pie Brown
- 訳:茅律子(かや りつこ)
- 出版社:早川書房ハヤカワ文庫
- 発行:1998年
- NDC:933(英文学)小説 アメリカ
- ISBN:4151707522 9784151707520
- 447ページ
- イラスト
- 原書:”Rest in Pieces” c1992
- 登場ニャン物:ミセス・マーフィ、ピュータ、ノエル、ジングルベル、ほか
- 登場動物:犬、馬、オポッサム、フクロウ、その他