ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』
鏡の向こう側には、不思議な世界が広がっていた。
『不思議の国のアリス』の続編。
『不思議の国の・・・』と同様、実に不思議な出来事が、アリスの回りに次々と起こる。
それどころじゃない。
読んでいる私の回りにまで、不思議が襲ってきた。なんと手の中の本が分裂しはじめた。「分身の術」を使う本?
最初は一冊だったはずなのに、
気がついたら2冊になり、
さらに3冊に別れ、その後も増え続けて、
しまいには、綴じられた1冊の本ではなく、バラバラな紙片の束になっちゃった・・・!
そりゃーペーパーバックは日本の本より、紙質も製本も劣悪であることは知ってましたよ。だからって、読んでいる最中に分解しなくても・・・
日付を見たら、なんと“1960”の年代が。
今は2010年(注:書評執筆時)。あちゃー。なんと50年前の本か。
いや、これはコピーライトが1960年ってだけのことで。
製本はもう少し後年のはずだ。
に、しても。
相当古いことは事実だ(大汗)。
仕方ないので、クリップで留めて読み続けた。
これはこれで『アリス』らしくていいかも。
大脱線してしまいました。すみません。
さて。
『不思議の国のアリス』に引き続き、『鏡の国のアリス』にも愛猫ダイナが登場する。
ダイナの子猫達、真っ白なスノードロップと、真っ黒なキティも登場する。
アリスが鏡の国に迷い込んでしまったのは、この猫達が原因だった。
そのとき、アリスは悪戯な子猫達を、叱ったり、抱いたり、キスしたり、一人芝居のように話しかけて遊んでいたのである。
「チェスできる?」と聞いたり、「鏡の国ってどんなだろう!」と空想したり、そして、
そして・・・本当に鏡の後ろに入り込んでしまったのだ。
鏡の国では、猫達は出てこない。
アリスも、猫達のことは忘れてしまったようだ。
鏡の国は、チェス盤のように仕切られていた。
アリスは、ライオンやセイウチや、ユニコーンやハンプティ・ダンプティや、奇妙な双子や馬鹿馬鹿しい騎士や、それから、(チェスの)赤の女王その他に会う。
不思議で奇妙でおかしな冒険を重ねるのだけれども、すでに「不思議の国」も体験済みなアリス、臆せず飄々と切り抜けていく。
そして、最後に、前回同様、目が覚めると・・・となるのだが。
『不思議の国』では、不思議の国への案内者は白ウサギ、目覚めたアリスの横にいたのはお姉さんだった。
『鏡の国』では、どちらも猫達だ。
アリスは、黒い子猫キティに言う。
「あの赤の女王、あれ、あなただったんでしょ!」
白の女王はきっと白い子猫スノードロップ、母猫ダイナは・・・ハンプティ・ダンプティかしら?
そして、つぶやく。
赤の王様は私の夢の中に出てきた人・・・でも、私自身も、実は、赤の王様の夢の中の登場人物の一人だって言われた・・・じゃあ、夢を見ているのはどっち?私?それとも、赤の王様?
(2011.1.3.)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『鏡の国のアリス』
- 著:ルイス・キャロル Lewis Caroll
- NDC:933(英文学)イギリス
- 原書:”Through the Looking-Glass – and What Alice Found There” c1871
- 登場ニャン物:ダイナ、キティ、スノードロップ
- 登場動物:ユニコーン、ほか