香月日輪『ねこまたのおばばと物の怪たち』

薄暗い竹藪の鳥居をくぐると・・・。
柏木舞子、小学校5年生。お母さんが亡くなって、やがて、お父さんは再婚した。新しいお母さんと仲良くなろうと、しばらくは頑張っていたけれども、弟ができて。
お母さんはもちろん、お父さんも、まだ赤ちゃんの弟にかまいっきりになって。
暗くふさぐ舞子は、学校でもいじめられて。
勉強も運動も、とくにできる方ではないし、給食はまずいし。
学校も、家も、なにもかも、いや・・・!
そんなある日、舞子は、いじめっ子に強制されて、イラズ神社に行かされます。昼間でも暗い竹藪の奥にあって、お化けが出るとウワサの神社。
どうにも仕方なく、舞子はおそるおそる竹藪に踏み込みますが・・・
そこに現れたのは、見渡す限りのお花畑。美しい池。森と小鳥たち。
そして、わらぶき屋根の、テレビで見たことのある、田舎風の家。
その農家のおばあちゃんは、なんと猫又でした。
そこは物の怪の世界なのでした。
猫又のおばばをはじめ、物の怪たちは、舞子にとても親切でした。
舞子はたちまち、物の怪たちになじみます。
舞子はおばばの家に、毎日のように遊びに行きました。
おばばは、生きる楽しさを教えてくれました。
人生の大切なことも教えてくれまました。
孤独だった舞子は、だんだん変わっていきました。
* * * * *
たのしい本です。読み始めると、なんか勢いがついて、一気読みしちゃいます。
猫又のおばばは、千年も生きてきた「猫又」ではありますが、外見はごくふつうの農家のお婆さんです。
畑を耕したり、野菜を煮たり、縁側に座ってお茶を飲んだり。
でもさすが千年の功、ときどき深いことをサラリと言います。
舞子もおばばの言葉を素直に受け止め、どんどん成長していきます。
こんなおばばが自分のそばにもいてくれたらいいのにと、誰でもが思うでしょう。そんなすてきなおばばです。さすが猫、いえ、猫又!

香月日輪『ねこまたのおばばと物の怪たち』

香月日輪『ねこまたのおばばと物の怪たち』
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ねこまたのおばばと物の怪たち』
- 著:香月日輪(こうづき ひのわ)
- 出版社:株式会社KADOKAWA
- 発行:2014年
- NDC:913.6(日本文学)小説
- ISBN:9784041019344
- 131ページ
- 登場ニャン物:おばば(猫又)
- 登場動物:キツネ、カマイタチ、ほか物の怪たち