群ようこ『おかめなふたり』
出会いは、突然、一目惚れ。
今、うちには生後推定約半年のハナがいる(注:書評掲載時)。
群さんのしぃちゃんと同じく白黒猫で、鉢割れおかめ模様でこそないものの、似たような色模様で、またそのやんちゃなことといい、何かの時の態度といい、まるでそっくりなのである。
群さん、もしかして、うちのハナの事を書いたのではと疑いたくなるくらいだが、この本はハナが生まれる前に出版されているのだから、そんなはずはない。
にもかかわらず、本を読んでいるとその光景があまりにも具体的な映像となって脳裏に広がるのだ。
既視体験(デジャ・ビュ)みたいな、いや、この場合は既読体験とでもいうべきか、とにかく「ハナそっくり~~♪」の連発だった。
違う点はハナはしぃちゃんと違って口数が少なくめったに‘鳴いての’抗議はしないということだけだ。
そもそも、出会いからして似ている。
迎えようとして迎えた子猫ではない、ある日突然降ってわいたように現れた。
とりあえず家にいれた後も最初は飼う気は全然なかった。
なのに後から考えれば完全な一目惚れだった。
うちの子となるべくして現れた子猫だった。
群さんは、大の猫好きだが、一人暮らしの生活で猫を迎えるつもりはなかった。
ところが塀の上にいる仔猫を見たとたん、私は荷物を放り出して、もしかしたら短距離自己新記録が出たんではないかというくらいの速さで、三階からマンションの中庭まで降りていったのである。
そして友人達に
「それは運命よ」
と決めつけられる。
気がついたときにはしぃちゃんはすでに群さんの家族となっていた。
子供と言うよりは年の離れた妹のような存在だった。
いや、女王様だった。
群さんの毎日はしぃちゃんを中心に回り出す。
いたずらっ子で、やんちゃで、甘えん坊で、寂しがりやで、群さんが大好きなしぃちゃん。
しぃちゃんに振り回されながらもかわいくてたまらない群さん。
猫ばか猫まみれ猫三昧の猫エッセイです。
思い切り楽しんでください。
おすすめです。
(2005.3.7)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『おかめなふたり』
- 著:群ようこ(むれ ようこ)
- 出版社:幻冬舎
- 発行:2004年
- NDC:914.6(日本文学)随筆、エッセイ
- ISBN:4344405609 9784344405608
- 221ページ
- 登場ニャン物:しい、ビー
- 登場動物: