向田邦子『眠る盃』
東京ど真ん中のアパートに、ライオン?。
1970年代後半に「文藝春秋」他で発表されたエッセイを集めたエッセイ集。
猫が出てくるのは数章、他は、犬の話とか、不思議なライオンの話など。
あとはごく普通のエッセイが集められている。
向田さんの愛猫、伽俚伽はシャムネコ、そしてマハシャイ・マミオとチッキイ夫人はコラットである。
このコラット夫婦は何回か出産している。
そのうちの1回は、親猫も見放すくらいに小さな小さな子猫たちだった。
向田さんは、
「猫の未熟児を育ててるから、締め切りを伸ばしてくださいとは言えないので、母が急病ということ」
にして、1週間寝ずに育てる。・・・
中野のライオンの話も面白い。
東京の中野である。
電車の窓から、アパートの一室にライオンを見たという。
確かに本物のライオンだったというのだが?
それから、短編だが、向田さんがはじめて漱石「吾輩は猫である」を読んだ話も面白かった。
私がはじめて読んだのも向田さんと同じ小学校5年生のとき。
理解したとはとても言えないながらも、わくわくドキドキしたのも同じ。
それまでの子供の本とはまったく違う世界に飛び込んで、それは胸躍るような体験だった。
強烈な印象を残した本だった。
猫好きは皆あの名著で同じ経験をするのだなと思った。
(2004.8.14)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『眠る盃』
- 著:向田邦子 (むこうだ くにこ)
- 出版社:講談社文庫
- 発行:1982年
- NDC:914.6(日本文学)随筆、エッセイ
- ISBN:4061317687 9784061317680
- 254ページ
- 登場ニャン物:伽俚伽(かりか)、マハシャイ・マミオ、チッキイ夫人
- 登場動物:-