群ようこ『本棚から猫じゃらし』

群ようこ『本棚から猫じゃらし』

 

本好き+猫好きな人気作家のブックレビュー集。

レビューされているのは、以下の各作品。

  • 1冊目 子どもなんかいらない 網野菊「冷たい心」「ひとり暮らし」
  • 2冊目 大坂が好きだから 織田作之助「六白金星」
  • 3冊目 「老い」とつきあう方法 岡本かの子「老妓抄」
  • 4冊目 おやじの悲劇 田山花袋「少女病」
  • 5冊目 前世が知りたい 藤枝静男「田紳有楽」
  • 6冊目 自分の肉体をおもちゃにすれば 芥川龍之介「鼻」
  • 7冊目 面倒をかける側の視点 正岡子規「仰臥漫録」
  • 8冊目 結婚って、何 仲町貞子「叔母梅木久子」
  • 9冊目 そこは弱いの 宮沢賢治「よだかの星」
  • 10冊目 お金の上手な遣い方 川崎長太郎「抹香町」
  • 11冊目 不倫の噂は楽しいが 黒岩涙香「弊風一斑 畜妾の実例」
  • 12冊目 大人の都合なんか知らない 吉川英治「忘れ残りの記」
  • 13冊目 下ネタは奥深い 宮本常一「忘れられた日本人」
  • 14冊目 ストレスがやってきた 内田百閒「山高帽子」
  • 15冊目 小さいままでいたいけど 獅子文六「悦ちゃん」
  • 16冊目 他人の食事が気になる 子母沢寛「味覚極楽」
  • 17冊目 惚れると不幸になる男 石川啄木「ローマ字日記」
  • 18冊目 ペットが死ぬとき 夏目漱石「猫の墓」
  • 19冊目 サンショウダユウは誰だ 森鴎外「山椒大夫」
  • 20冊目 年寄り相手といいながら 渡辺一夫「ある老婆の思い出」

ブックレビューなので、いくら猫好き作家といえ、基本、猫は出てきません。レビューしている本そのものに猫が出てこない限り。

上記の中で2冊だけ、猫が出てくるようです。

1冊目は、『網野菊「冷たい心」「ひとり暮らし」』。 
「冷たい心」に小猫が出てくるようです。
でも残念ながら、私はこれらの作品を読んでいませんし、検索しても今は中古でも入手は難しいようなので、読みたいなあと指をくわえつつ、群さんのレビューを読むしかありませんでした。

2冊目は、レビューでは18冊目になる『夏目漱石「猫の墓」』。
著者はまず、金魚をこよなく愛した男の話や、なくなってしまった猫を思い出して客の前でも涙ぐむ店長の男の話などをし、そして、こう続けます。

たとえば人が亡くなったとき、もちろんとても悲しいのだけど、場合によってはその悲しさを笑いでぶっ飛ばそうと、とんでもない事が起こることもある。最初はしみじみ思い出話をしていたのに、そのうちに仏様の悪口大会になることもある。
(中略)
しかし動物の場合はそうはいかない。悪口なんか絶対に出ないし、ぱっと盛り上げることもなり。ただひたすら悲しいのと、
「もっと、よくしてやればよかった」
という後悔だけである。
page186

そのあとで、漱石と猫との関係についての、群さんなりの考察が続きます。『猫の墓』を読んでいると、「もうちょっと何かしてやればよいのに」、「とても冷たい気がする」としながらも、当時の動物との付き合い方はこんな感じだったのだろうと思い、さらに「今の私たちでもやれないくらいのことをしている」とも認めています(いずれもpage188)。猫を失った漱石の深い悲しみを、群さんはきっと辛かったのだろうと思いやるのです。

もう1冊、猫は出てきませんけど面白いと思ったレビューをご紹介。5冊目の『藤枝静男「田紳有楽」』です。
前世などについて書かれてあります。で、私が面白いと思った点というのは、にこにこしながら平気で人を不愉快にさせるタイプの人間には「前世がない」のだという説です。霊感があるという’彼’には、他人の前世がみな見えてしまうらしいのですが、

しかし、人を不愉快にさせる奴だけは、何も見えない。人というものは何度か生まれ変わり、そのたびに徳を積んで、人間として成長するんだそうだ。しかし、にこにこしながら人を不愉快にさせる奴は、人間が初体験なので、とんでもないことを平気でやらかししまうというわけなのだ。
「そう思うとね、何を言われても『ああ、こいつは人間をやるのが初めてだから、こんなに馬鹿なんだな』ってあきらめられるから、腹も立たないよ。」
page53

なるほどねえ。納得。
ついでに私自身の前世は何だったんだろうかと、「前世 無料占い」で検索して(無料でやろうっていう魂胆が悪い?汗)、やってみたら・・・

あなたの前世は、人ならざる存在・友好的な宇宙人

あらま。猫ならよかったのに。にゃはは・・・

群ようこ『本棚から猫じゃらし』

群ようこ『本棚から猫じゃらし』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『本棚から猫じゃらし』

  • 著:群ようこ
  • 出版社:株式会社 新潮社
  • 発行:平成6年(1994年)
  • 発表誌:「小説新潮」1992年4月号~1993年11月号
  • NDC:914.6(日本文学)随筆、エッセイ
  • ISBN:9784103674054
  • 211ページ
  • 登場ニャン物:-
  • 登場動物:-

 

目次(抜粋)

1冊目 子どもなんかいらない 網野菊「冷たい心」「ひとり暮らし」 
2冊目 大坂が好きだから 織田作之助「六白金星」
3冊目 「老い」とつきあう方法 岡本かの子「老妓抄」
4冊目 おやじの悲劇 田山花袋「少女病」
5冊目 前世が知りたい 藤枝静男「田紳有楽」
6冊目 自分の肉体をおもちゃにすれば 芥川龍之介「鼻」
7冊目 面倒をかける側の視点 正岡子規「仰臥漫録」
8冊目 結婚って、何 仲町貞子「叔母梅木久子」
9冊目 そこは弱いの 宮沢賢治「よだかの星」
10冊目 お金の上手な遣い方 川崎長太郎「抹香町」
11冊目 不倫の噂は楽しいが 黒岩涙香「弊風一斑 畜妾の実例」
12冊目 大人の都合なんか知らない 吉川英治「忘れ残りの記」
13冊目 下ネタは奥深い 宮本常一「忘れられた日本人」
14冊目 ストレスがやってきた 内田百閒「山高帽子」
15冊目 小さいままでいたいけど 獅子文六「悦ちゃん」
16冊目 他人の食事が気になる 子母沢寛「味覚極楽」
17冊目 惚れると不幸になる男 石川啄木「ローマ字日記」
18冊目 ペットが死ぬとき 夏目漱石「猫の墓」
19冊目 サンショウダユウは誰だ 森鴎外「山椒大夫」
20冊目 年寄り相手といいながら 渡辺一夫「ある老婆の思い出」
あとがき

著者について

群ようこ(むれ ようこ)

著書に『午前零時の玄米パン』、『鞄に本だけつめこんで』、『本は鞄をとびだして』、『無印親子物語』、『姉の結婚』、『ネコの住所録』等がある。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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群ようこ『本棚から猫じゃらし』

4.9

猫度

1.0/10

面白さ

7.0/10

読みやすさ

7.5/10

猫好きさんへお勧め度

4.0/10

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