『劇場版 猫侍』書き下ろし

本でも映像でも、愛猫家に自信をもって勧められる『猫侍シリーズ』。
ふつう、映画やドラマ化された作品と、文章で書かれた本とは、うける印象がかなり違ってくる。
作品によって、また視たり読んだりする人によって、映像の方が良かったり、文章の方がよかったり、色々だろうけど、私の場合、映像より文章の方が気に入ることが多い。先に本を読めば、映像を見てがっかりし、先に映像を見れば、本を読んで「これも表現できてなかった、あれも表現できていなかった」と不満に思う。
この『猫侍シリーズ』は、先に映像の方を見てしまった。本を入手したのは偶然だった。映像があまりに良かったので、本を読もうかどうか迷ったくらいだ。読んだのは、愛猫ビクトリア(通称ビクちゃん)の病状が悪化して、動物病院に通院しなければならなくなってしまったから。
病院の待合室で、瀕死の猫を抱えながらでも、読めるような本。
そのときに選んだのが『猫侍シリーズ』。
大正解でした。
これほど、映像と本の隔離が少ないシリーズは、滅多にないのでは?
ストーリーの方は、映像レビューで書いたので、お手数ながらそちらをご覧いただくとして。
本ならではの感想。
本の良いところは、自分のペースで読めるということだ。
映像なら一秒で終わってしまうセリフも、文章なら何回も読み返すことができる。
その裏の意味、言葉の重みを、じっくり好きなだけ味わうことができる。
本の方が、斑尾久太郎の心の揺れが、詳細にわかって面白い。活劇部分などは、映像の方が迫力あるかもしれないが、このシリーズの骨髄は、久太郎の気持ちだ。思いだ。玉之丞への愛情だ。映像の方は、見ている間はコメディで、あとからじんわり感動がやってくる。本の場合は、あちこちで立ち止まってその都度味わいつつ、感動物語の中にコミカルな要素もたっぷり、と贅沢な楽しみ方ができる。
もうひとつの楽しみ方。もちろん、玉之丞を我が家の愛猫に置き換えて読めることだ。
うちにはシロロという猫がいる。雄だが、全身真白で美しいところは、玉之丞と同じ。当然、読んでいる間中、玉之丞はシロロに勝手に脳内転換されてしまっている。久太郎が玉之丞を愛しく思う気持ちがそのまんま、シロロ愛しいになってしまう。
別に、同じような白猫でなくとも。
愛猫を思う気持ちは、どの人だって同じだ。そうそう、こんな風にかわいいの♪ そうそう、こんな風に愛しいの♪ そうそう、こんな風に心配なの・・・
ああ、そして、
全世界の全人類が、このくらい、動物たちを大切に、家族と思ってくれたらいいのに!
この半分でも良い。
こんな優しい目暖かい気持ちで動物たちを見守ってくれたら!
(2017年3月6日)

『劇場版 猫侍』書き下ろし
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『劇場版 猫侍』
書き下ろし 小説版
- 著:森川秀樹(もりかわ ひでき)
- 原案:永森裕二(ながもり ゆうじ)
- 出版社:TOブックス
- 発行:2014年
- NDC: 913.6(日本文学)小説
- ISBN:9784864722247
- 252ページ
- 登場ニャン物: 玉之丞、ハナコ、他
- 登場動物: 甚太郎(犬)

これはうちのシロロ、画像は私の手書きです。
画像は私が描いたもの、猫はうちのシロロです。
.