『劇場版 猫侍』映画/DVD
北村一輝の演技が光る!笑いと涙満載の、猫映画界大傑作。
時代は江戸時代末期。
天下泰平な世の中では、武士たちは、剣の腕だけでは食えなくなっていた。
主人公の斑目久太郎(北村一輝)も免許皆伝、「斑鬼」とあだ名された剣術指南だったが、ある事情で失職し、今はしがない浪人である。
仕官を夢見て、故郷に妻子を残したまま、単身江戸までやってきた。
が、そう簡単には就職できない。
強面の顔立ちは、剣の勝負では有利でも、仕事探しには不利でしかなかった。
今は喰うや喰わぬの貧乏暮し。
下町のボロ長屋の家賃さえ、滞りがちで、今にも追い出されそうだ。
そんな彼に、久しぶりに、大きな仕事が舞い込んだ。
それはなんと、犬派一家の宿敵・猫派親分の愛猫を暗殺するということ。
久太郎は仕事を引き受け、猫一匹を殺す仕事で5両という大金を得る。
「ま・・・殺してないけど」
久太郎は、剣の鋭さや顔の怖さと裏腹に、心根の優しい、情に厚い男なのだった。
特に猫好きというわけではなかった(つもりだ)けど、それでも、無実な猫を人間たちの抗争の犠牲にはできなかった。
そして、そんな久太郎が猫「玉之丞」にメロメロになるのに時間はかからなかった。
猫と暮らすようになって、久太郎の身辺はにわかに騒がしくなる。
女性の知己が増える。
仲間だか仇だかわからないような「宿敵」ができる。
なぜか弟子までできる。
そしてついに、犬猫抗争が勃発する。
もちろん、久太郎と玉之丞はその真っただ中に引っ張り込まれて・・・
・・・・・
猫好き犬好きはもちろん、猫嫌い犬嫌いにも、ぜひ見てほしい映画。
だって、なんとも、内容が良いのだ。
動物たちに対する態度が、実に暖かく、愛にあふれ、しかも公平なのだ。
久太郎は、最初の頃は「猫は外」と、玉之丞を何度も外に出してしまう。
そればかりか、神社に捨てさえする。
が、真っ白な玉之丞がドロドロになって戻ってくると、せっせと拭いてあげる。
そのときから玉之丞は久太郎の大事な家族となった。
犬猫戦争が始まり、玉之丞が誘拐される。
それを知るや、せっかくの仕官のチャンス(=一生の安泰)を投げ捨て、久太郎は助けに走る。
「こいつもおれの家族だ。何があっても守る!」
このセリフ、猫を捨てたり保健所に持ち込む現代人に聞かてやりたいねえ。
玉之丞を懐に抱いたまま切り合うシーンも出てくる。
が、激しい切り合いの最中にも、怯える玉之丞を気遣って「大丈夫だ」と声をかける久太郎。
その優しさと、顔の怖さのギャップが大きすぎて笑える。
ついでに、久太郎の調子っぱずれの歌も笑える。
他の登場人物たちも良い。
人間を切るのはかまわないが、「動物を切る奴は許せねえ」と怒る親分。
「犬も猫も道具ではない」と叱り飛ばすもう一人の親分。
そして、玉之丞の元飼い主も。
自分の気持ちより、猫の希望を第一に考慮し、猫にとって一番良いことを優先する潔さ。
ちょっとしたシーンも凝っている。
やくざの賭場を荒らす犯人は子猫だったり。
猫と暮らす以前から、久太郎の全財産は招き猫型貯金箱だったり。
ちょっと残念なのは、玉之丞役の猫達が、耳を伏せていることが多く、歩くときも腰を落としていることが多い点だ。
猫が緊張しているのが見えてしまう。
さらに非常に残念なのが、・・・
「猫侍」オフィシャルサイトのキャスト欄に、玉之丞役の猫達の名前も、勘太郎役の犬の名前もないこと!(2014.11.5.現在)。
これは失礼すぎるでしょう。
せっかく映画の中では「猫も犬も人もない」のスタンスを貫いているのに、これじゃあぶち壊しじゃないですか。
なお、この「劇場版」のストーリーは、「テレビドラマ」とは全然違います。
が、久太郎が玉之丞にデレデレなところや、猫の良い理解者が多いところ等は同じです。
(2014.10.5.)
※画像はオフィシャルサイトのスクリーンキャプチャです。著作権法に配慮し、画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『劇場版 猫侍』
- 脚本:永森裕二、山口義高、城定秀夫
- 出演:北村一輝, 蓮佛美沙子, 浅利陽介, 戸次重幸, 温水洋一、猫、犬、他
- 公開:2014年3月1日
- 上映時間:100分
- 登場ニャン物=玉之丞、他
- 登場動物=甚太郎(日本犬)
*この画像は、猫は管理人の愛猫シロロ、画像は管理人のオリジナルです。映画/ドラマとは関係ありません。
でも、玉之丞そっくりでしょ♪