ヘス『ボクを救ってください』

ヘス『ボクを救ってください』

 

「だれかボクをほしいと言って」ペットたちの、哀しげな叫び声が・・・。

著者のヘス氏は、アメリカ・ニューヨーク州・コロンビア郡にある「コロンビア・グリーン愛護協会」でボランティアとして働いている。本職は美術関係のフリーライター。

ヘス氏は犬好きで、生涯のほとんどを犬と共に暮らしてきた。8歳になる娘の誕生日プレゼントに犬を送ろうとしてセンターを訪れたのがきっかけとなり、彼女はやがてボランティアとして働くようになる。

日本の動物関連HPの間では、アメリカを理想化する傾向が強く、アメリカではペットを捨てる人などいないかのように言われることがままあるが、この本を読めば、アメリカにも問題飼い主は数多く存在することがわかるだろう。

アメリカでも、実に些細な理由で、動物を捨てる人は後を絶たない。動物を虐待する人、不適切な飼い方をする人も、日本に劣らず多い。

また、「アメリカの保護センターは里親が見つからなかった動物はセンターで終生飼育される」という風評が間違いであることもわかるだろう。

殺さないセンターというのは、最近増えつつあるのは事実だそうだ。が、そういうところは受け入れ動物を審査して選別するという。つまり、里子に出しやすい健康な子しか受け入れないそうだ。
それでもたちまち満杯となり、新規受け入れを一切拒絶するようになるという。

その結果、拒絶された動物たちは、安楽死を実行している保護センターにまわってくることになる。

「コロンビア・グリーン愛護協会」では一切拒否しないかわりに、動物たちを安楽死させている。

生後6週間未満の子猫は自動的に全て安楽死させられる。里親に渡せる週齢に育つまで手間と時間がかかるからだ。
黒猫と三毛猫なら、一般的に人気が高い黒猫が残され三毛猫が殺される。が、すでに黒猫が数匹保護されているなら、三毛猫が残される。

要するに、貰われやすい子だけが選ばれて里親探しの部屋にまわされ、それ以外は処分されてしまう・・・

しかし、それも仕方がないと、ヘス氏は無理矢理自分を納得させている。なにしろ、「コロンビア・グリーン愛護協会」のような‘小さな’センターですら、年間の新規受け入れ動物数は5000頭にも登るという。限られた予算、限られた場所、限られたスタッフでは、安楽死は仕方のないことなのだ。

ヘス氏の前書きによれば、アメリカ全土で年間2千万匹もの動物たちが安楽死させられているという。

(前略)毎年二千万の動物が全国の保護センターで命を落とすという話を聞いた時、わたしは動物解放運動団体が大げさに宣伝しているのではないかと思いました。まさかペットを愛さない人がいるとは思わなかったからです。でも、このコロンビアーグリーン愛護協会でときを過ごすようになって、わたしの抱いていたいくつもの幻想は砕け散りました。
page10

2千万匹という数字は、犬猫だけでなく、あらゆる‘ペット’を含む数字らしいので、日本の犬猫計数十万匹とは比較できないが、それにしても膨大な数である。

そして、アメリカでもやはり問題となっているのは「繁殖家(ブリーダー)」と「ペットショップ」。世界のどこへいっても、生体販売をして平気な人種というのは救いがたい人種だと嘆息せずには居られない。

それから、流行。

子どもたちのおかげで、フロリダ州のある動物保護センターでは一気にダルメシアンの収容数が35パーセントも増えました。ディズニー映画「101」が映画館でヒットしたあとのことです。皮肉にも、ほとんどのダルメシアンには里親が見つからず、センターから出られませんでした。
page162

ああ、アメリカも日本も同じなのだなと悲しくなる。

日本では、某アイフ〇のCMのあと、チワワが爆発的な人気となった。その少し前はシベリアンハスキー。チワワはともかく、大きくなるハスキーは手放す人が続出し、保健所も里親募集サイトもハスキーであふれたことを覚えている。また、TVアニメ「ラスカル」のせいでアライグマが大量に輸入され、本来は気の荒い野生動物であるアライグマを飼うのは当然困難で、その結果、大量のアライグマが捨てられ、今や日本の生態系や農業に多大な影響を与えるようになってしまった、というのも有名だ。

とはいえ、ペット後進国日本よりは、様々な点でアメリカの方が進んでいることは確かだ。
この「コロンビア・グリーン愛護協会」のような保護センターは全国に数多く存在し、そこではヘス氏のようなボランティアも数多く働いている。虐待捜査員は、正式な手続きさえ踏めば、強制的に家宅捜査したり、動物を保護する権限を持っている。裁判で虐待飼い主に、例えば今後10年間に渡って犬を飼ってはいけないという判決がでることもそうめずらしくない。日本が見習うべき点は多いだろう。

ヘス氏は犬好きなので、本のほとんどは犬の話題で占められているが、猫にも共通する事は多い。
いつの世になれば、動物達と幸せに共存できる世になるのだろうか。

(2003.8.24)

ヘス『ボクを救ってください』

ヘス『ボクを救ってください』

ヘス『ボクを救ってください』

ヘス『ボクを救ってください』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『ボクを救ってください』

  • 著:エリザベス・ヘス Elizabeth Hess
  • 訳:雨沢泰(あめざわ やすし)
  • 出版社:集英社
  • 発行:2000年
  • NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)
  • ISBN:4087733262
  • 295ページ
  • 原書:”Lost and Found” c1998
  • 登場ニャン物:多数
  • 登場動物:犬

 

目次(抜粋)

  • はじめに
  • 1 保護センター・ショック
  • 2 キャット・ピープル
  • 3 また家に行けるよ
  • 4 こまった犬、こまった人
  • 5 「目は不法侵入にならない」
  • 6 強制捜査
  • 7 最後の楽園
  • おわりに:自分に合ったペットを見つけるには
  • 感謝のことば
  • 訳者あとがき

 

著者について

エリザベス・ヘス Elizabeth Hess

ニューヨーク在住の女性ジャーナリスト。ニューヨーク近郊の動物保護センターでのボランティア体験をもとに、本著を執筆する。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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ヘス『ボクを救ってください』

6.3

猫度

4.0/10

面白さ

7.0/10

情報度

7.0/10

猫好きさんへお勧め度

7.0/10

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