加藤由子『きょうも猫日和』

加藤由子『きょうも猫日和』

 

副題:「猫のいる歳時記」、絵:大高郁子

一年366日それぞれに、猫に関係のある豆知識を割り当て。366日?はい、2月は29日まであるのですよ。なんかそれも猫っぽい気がするのは私だけではないかと?(笑)

1月1日 元旦。
謹賀新年。猫の首輪を新しいものに取り換えて、新しい食器に高い猫缶をおせち変わりに盛り付けて、・・・(後略)

1月2日 初夢の日
(前略)現代の猫好きは、猫を布団の中でしっかりと抱いて寝るべし。猫の夢を見るためでなく、布団の上から胸に乗られて悪夢にうなされないために。

1月3日 ひとみの日 1.3=ひとみ
(前略)(猫用のコンタクトレンズは)逆さまつげなどによる角膜疾患の治療用で、つまり目を保護するためのもの。(後略)

等々・・

と、366日分、綴られています。全部読めば、あなたもたちまち猫博士!

加藤由子『きょうも猫日和』

加藤由子『きょうも猫日和』

どの日付も良いのですが、なかでも私のお気に入りは、次のようなもの。

1月30日
血統書は、宝石などの鑑定書とは全く違う。あくまで血筋を証明するもので、両親、祖父母、曾祖父母など祖先が誰であるかを証明するもの。(中略)猫自体の”価値”とは関係なし。猫自体の”価値”は飼い主が作るもの。
page24

4月1日 エイプリルフール
愛猫のクローンを作ってくれる会社がアメリカにある。費用は1頭、5万ドル(約550万円)。でも、この会社が作ったクローン猫の第一号「CC」は、オリジナルの猫と毛色も性格も違うらしい、。遺伝子が同じでも違う毛色は出るし、性格は環境に大きく影響されるからだそうだけど、それじゃ、どこにクローン猫を作る意味があるのかしら。ウソみたいな本当の話。
page57

4月9日
去勢手術や不妊手術をされた猫はどんな気持ちなのだろうか?猫は、発情期にだけオスやメスになるのであり、非発情期にはオスもメスもない単なる”猫”。手術をした猫は、非発情期が永遠に続くのだと考えればいい。私たちがまだ異性に興味のなかった子ども時代に戻るのだと考えてもいい。そして、それは決して不幸なことではないと思う。
page61

さすが加藤由子様!やさしい言葉で、おだやかな表現で、でもポイントはぴたりと抑えて啓蒙してくださっている。
そうそう、そうなのよ!血統書が証明するのは、良い猫かどうかではなくて、単なる「血筋」にすぎない、猫の価値を決めるのは飼い主のあなた!
大金を払って愛猫愛犬のクローンを作るなんてナンセンス、それより、そのお金で、今苦しんでいる猫たち犬たちの中から、新しい家族を迎えようよ!
不妊手術なんてかわいそうでできないという時代遅れ飼い主、むしろ、手術しないほうが可愛そうなんですよ?苦しむんですよ?もっと猫達のことを真剣に考えてあげて!

なかなか面白い本です。一種の豆知識集ですから、図書館で借りて一読して返却するより、自分のものとして所有して、いつでも手にできる状態に置くのがおすすめ。
猫好きな方、機会あればどうぞ是非一冊。

加藤由子『きょうも猫日和』

加藤由子『きょうも猫日和』

加藤由子『きょうも猫日和』

加藤由子『きょうも猫日和』

加藤由子『きょうも猫日和』

加藤由子『きょうも猫日和』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『きょうも猫日和』
猫のいる歳時記

  • 文:加藤由子
  • 絵:大高郁子 
  • 出版社:株式会社 実業之日本社
  • 発行:2004年
  • NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)
  • ISBN:4408612421 9784408612423
  • 207ページ
  • カラーイラスト(カット)
  • 登場ニャン物:
  • 登場動物:

 

目次(抜粋)

January
February
March
April
May
June
July
August
September
November
December
Index

著者について

加藤由子(かとう よしこ)

生物学(動物行動学)選考。<ヒトと動物の関係学会>理事。エッセイスト、動物関係のライターとして多方面で活躍。とくに、猫の生態や心の動き、ヒトとの関わり合いについての描写は余人の追従を許さず、猫好きのあいだでは、隠れた教祖として知られている。主な著書に、『うちの猫に限って』『雨の日のネコはとことん眠い』『ゾウの鼻はなぜ長い』『クジラも海でおぼれるの?』『猫の気持ちを聞いてごらん』など。

大高郁子(おおたか いくこ)

イラストレーター。『宮沢賢治詩集』『北原白秋詩集』『荻原朔太郎詩集』装丁画、本の装丁画多数。ほか、集英社、NHK出版、マガジンハウスなどの雑誌の挿画。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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加藤由子『きょうも猫日和』

8.4

猫度

9.8/10

面白さ

7.5/10

猫好きさんへお勧め度

8.0/10

加藤由子『きょうも猫日和』” に対して1件のコメントがあります。

  1. nekohon より:

    【推薦:cast様】
    ダンナにパソを占領され、プチ浦島タロ子をしておりましたが、その間に本を一冊読みましたので・・・
     加藤さんの本を何冊か読んでいる方にはお馴染みの事が書かれていたりもしますが、毎日366日、猫にまつわる事が短く楽しく書かれています。
     「南極物語」で犬のタロとジロは有名だけど、第一次越冬隊は猫のタケシも連れて行っていた。」など、思わず「へえ~」と言ってしまうトリビア的な話や、キャリー嫌いの猫が、紙袋があれば入らずにはいられない性質だったら?
     試してみる価値がありそうな話などもあり、猫飼い初心者さんもベテランさんも楽しく読める本だと思います。
    (2004.12.21)

    *サイトリニューアル前にいただいておりましたコメントを、管理人が再投稿させていただきました。

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