工藤久代『ワルシャワ猫物語』
ポーランド語を知らない筆者がワルシャワという見知らぬ町で出会った猫達の話。
ご主人はワルシャワ大学日本語学科教師。
右も左もわからぬ町で見つけた最初の友達は、昔飼っていた猫とよく似た黒猫のチャルだった。
チャルは「貴重な日本語の話し相手」として、筆者の心の支えとなっていく。
チャルのお陰でポーランド人の友人も出来、やがてチャルはお嫁さんを迎えて子猫を生む。
その度に新聞に里親募集の広告を出す。
しかし猫達の平和は長くは続かない。
ある子は病気に倒れ、ある子は失踪し、またある子はもらわれた先で売られてしまう。
やがて日本に帰らなくてはならなくなり、残った子達も里親募集することに。
よく言えば淡々とした筆の運び、悪く言えば同一テンポの平坦な文章で、これがプロの小説家だったらどれほど盛り上げて涙を誘ったかと思われるような内容が、あまりおおきなクライマックスも形成されずに語られている。
よく考えれば、かなりハラハラする冒険とか、悲しい結末とかが盛りだくさんに織り込まれてはいるのだが、読んでいて迫力に欠けるというか、・・・同じ内容を小説家の文章で読みたかったというのが私の正直な感想。
ま、私も他人の事は言えませんケドね。
(2002.11.29)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ワルシャワ猫物語』
- 著:工藤久代 (くどう ひさよ)
- 訳:姓名(ひらがな)
- 出版社:文藝春秋
- 発行:1983年
- NDC:914.6(日本文学)随筆、エッセイ
- ISBN:416338040X
- 241ページ
- 登場ニャン物:チャル、ナホ、タロ、ハナ、ミーシャ、チャルコ、太郎、花子、アカ、モモコ、ロク、キンタ、コータ、チロ、チャピ
- 登場動物: -