中村紘子、他『私の猫ものがたり』

『私の猫ものがたり』

 

檀ふみ、長峰ヤス子、南伸坊、赤塚不二夫、岸本加世子、他。

女性ファッション雑誌の「ノンノ」に掲載されたエッセイ集。有名人(主にタレントや歌手などマスコミ関係)がそれぞれ愛猫について語っている。

これは20年前(1983年)に出版された本なんだ、実際に各人が執筆したのはもっと前なのだ、ということを、繰り返し繰り返し頭の中で唱えながら読んだ。そうしないと次第に頭に来てしまうので。

有名人は、少なくともここに寄稿した有名人の大多数は、まだまだ古い飼い方思想にがんじがらめにとらわれているようだ。猫はすなわち外出自由、気ままに外を歩くもの、マンション猫(この場合は完全室内飼いとほぼ同義)は哀れで可哀想。出産はすばらしい万歳、不妊手術はあくまで「自分が飼いきれないから」という理由からだけするもので、手術した場合はずっと後ろめたい気分を引きずらないといけない。ほとんどの人がそう書いている。書いていなくても文章の裏にそう読み取れる。

それは私だって、自由に外に出してあげたいし、手術しないで済むならそれに越したことはないと思っている。が、日本の現状が、猫達にそういう自由を許さない。有名人であるほど、世に与える影響は大きいのだから、猫一匹飼うにももっともっと考え、十分に調べて研究してから飼って欲しい。

編集者にも大いに責任があると思う。猫エッセイを集めるならなぜ猫専門家を入れない?猫専門家や保護活動家を数名混ぜれば、もっとぴりりとしまった良いエッセイ集になっただろう。有名人の中には、自分は多数の猫を飼ってきたから猫ベテランだ何でも聞いてくれなんて豪語している方もいるが、私はその方の最近のエッセイも読んで知っているけれど、私からみれば相変わらず30年前の飼い方をしている方だ。せめて不妊手術くらいは徹底してください。むやみに外に出さないでください。本当に猫が好きなのなら。

と、文句はこのくらいにして。

好感を持ったのは、ピアニストの中村紘子さん。評論家の犬養智子さん。
舞踊家の長嶺ヤス子さんが猫愛好家なのは広く知られているが、そのきっかけが、1匹の猫を車で轢いてしまったことに始まったとは知らなかった。当時は別に猫好きではなかったそうだが、彼女は勿論車を止めて猫に駆け寄ってくれた。
意外だったのがタモリさん。ファンになってしまいそうだ(笑)。

眉をひそめたのがT氏。彼のことだからブラックジョークで笑いをとろうとしただけだろう、ということは分かるのだけれど、それにしても行き過ぎ。Tコロ氏は動物好きで、今でも犬猫インコやナマズなどと暮らしているそうで、たまたま最近テレビでご自宅を写しているのを見た。が、猫達は自由に庭に出ていたし、犬たちの鎖はあまりに短かった・・・それとも、T氏くらいの豪邸になれば、完全敷地内飼いの対策がほどこされているのか?犬たちの鎖が短かったのは撮影の為?テレビではそこまで説明しなかっただけと言うこと?それならゴメンナサイだけど。

(2003.11.28)

『私の猫ものがたり』

『私の猫ものがたり』裏表紙

『私の猫ものがたり』

『私の猫ものがたり』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『私の猫ものがたり』

  • 著:中村紘子、他
  • 出版社:集英社
  • 発行:1983年
  • NDC:914.6(日本文学)随筆、エッセイ
  • ISBN:4087724409
  • 270ページ
  • 登場ニャン物: 多数/li>
  • 登場動物: -

 

目次(抜粋)

  • 真夜中のMr.Walkabout・・・中村紘子
  • ジョジョは”煮干しの王子様”・・・小泉喜美子
  • アドと猫たちの春夏秋冬・・・水森亜土
  • 猫とお風呂のふしぎな関係!?・・・犬養智子
  • 雪の上に残った梅のマークの足跡・・・堀内美紀
  • ロミは古代エジプトからよみがえった!?・・・下重暁子
  • 五匹の猫たちは、私の道化師・・・白石冬美
  • 猫のような女と女のような猫?・・・森ミドリ
  • 一目惚れしたトントはさいこうの同棲相手・・・小坂恭子
  • だれにも愛されなかった猫の話・・・檀ふみ
  • 喉を鳴らしてふたりでお茶を・・・熊井明子
  • ブチが天国から送った雀とこねこ・・・長嶺ヤス子
  • 他24作品

 


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