新美敬子『旅猫』

副題『街角で出会った小さな友だち』。

フランスの街角では、これは何でしょうか、道端の石スツールみたいな上で顔を洗う猫。
ギリシアの島では、真っ白い壁・真っ青な空・古そうな風車の下にたたずむ黒猫。

ニュージーランドでは、花壇の花をバックに「はいよっ」とポーズととっている猫。

イタリアのヴェネチアでは、お定まりの、ゴンドラと運河と猫。

シンガポールの路上生活猫はちょっと野性的。

トルコの猫は、きちゃないけど、ちゃんとノミ取り首輪をしているので、多分可愛がられている飼い猫。

ドイツの猫は、ビール腹？

スイスの、気のよさそうな茶白猫。でも可哀想なくらい軽かったそうだ。

マレーシアの猫は、お店番？威勢の良いバナナのたたき売りのおっちゃん風。

その他、その他。

タイトル通り、世界中の街角で出会った猫達の写真集です。

猫好きなカメラマンなだけあって、主人公はあくまで猫。
この構図ならわざわざ外国まで行かなくても国内で十分では？ってくらいに、猫だけが主役としてド－ンと真ん中に居座っています。
後ろに背景が写り込んでいればお慰み。中にはほとんど背景といえるほどのものがない写真も。
だから説明がなければ、どの国なのか、まずほとんどわかりません。
ですが、・・・
「どうだ、アートな写真だろ」というような変に凝った写真ではなく、つい猫だけに目がいっちゃってまわりなんか見えないの、というような視線が、猫好きな我々にはかえって好感度アップなのです。

（２０１１．２．５．）

新美敬子『旅猫』

新美敬子『旅猫』

著者について

新美敬子（にいみ　けいこ）

愛知県豊橋市生まれ。国家公務員退職後、TV番組制作に携わるなど写真と映像の分野へ進む。カレンダー、月刊誌連載、百科辞典編集、英文翻訳などで活躍。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)