新田一実『ペット心理療法士 事件ファイル No.6』
シェパードのカイザー、登場。
悠次はドッグカフェで卒倒していた。
別に重病とかではない。精神的な理由だ。ある話を聞いて、強いショックと憤りに襲われたからだ。
その話とは、花粉症のシーズンになるたびに、飼い犬を保健所に引き渡し、シーズンが終わると、また犬を買うという婆さんのこと。
犬を捨てるのは花粉症のときは散歩につれていけないからで、また子犬(しかも流行犬)を買うのは犬が好きだからだとか。
ジョーダンじゃねえぞ!命をなんだと思ってんだ!
で、卒倒しちゃったってわけ。
悠次はそれほど動物好き。
一方、将は怪我をして痩せこけたシェパードを保護する。
その痩せ方や、怪我の様子がただごとではない。
もしや動物虐待?
心を開こうとしないシェパードをなんとか助けようとする将と悠次。
それを叱咤激励ときには(しばしば)揶揄する怪猫タマ。
シェパードはカイザーと名付けられる。
そして、その行動には、深い理由があった。
またまたタマが大活躍する。
(2004.04.15)
ペット心理療法士シリーズ
尾鷲悠次は大学生。体は人一倍でかいが、気が優しくてとろくて動物にしか持てない男。親友の浅川将は悪魔的美青年。悠次と違い、頭の回転が鋭く口先がうまい。そして、不思議な猫、タマ。将の飼い猫なのだが、何年生きているのか分からない、天才的に賢い猫。悠次と将とタマは、将の祖父母の離れに同居している。
ある日突然、悠次はペットの言葉が理解できるように!
娯楽ミステリーです。パレット文庫ですから、マンガを見るような感覚でさらっと読めます。犬猫の扱いも◎。
悠次と言葉が通じるのは人間にかわいがられているペットに限る、という設定に非常に納得しました。年老いた飼い犬・飼い猫でも、飼い主にかわいがられていない子はちゃんと話せません。実際に動物と同居した経験がなければこのような設定はできないと思います。かわいがられている犬猫は人語を解しますよね。動物達が生き生きと描かれています。「ペット心理療法士」として動物を診る話ではなく、動物達を味方に付けて事件を次々に解決していく大学生の話です。
「ペット心理療法士」シリーズは、「キャットウォーク事件簿」シリーズ、「キャットテールレポート」rシリーズと続いていきます(シリーズ名が変わるだけで、内容は完全に連続しています)。
【まとめ:悠次・将・タマのシリーズ】
・ペット心理療法士シリーズ No.1-6
・キャットウォーク事件簿シリーズ No.1-4
・キャットテールレポートシリーズ No.1-7
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ペット心理療法士 事件ファイル No.』
- 著:新田一実(にった かずみ)
- 出版社:小学館パレット文庫
- 発行:2004年
- NDC:913.6(日本文学)小説
- ISBN:4094214968 9784094214963
- 238ページ
- 登場ニャン物:タマ
- 登場動物:犬