押川亮一『ペットフードにご用心!』
ペットフードが腐らないことこそ、おかしいのではないか?
著者はペットショップ経営者である。
ある日、パッケージが破れているペットフードから腐臭がしているのを見て、「賞味期限前なのにペットフードが腐るなんて?」と驚く。
そしてさらに「食べ物なのにペットフードが腐らないということこそ、そもそもおかしいではないか?」と気づく。
調べれば調べるほど、ペットフード業界の杜撰さ、出鱈目さに、著者は恐怖を覚えるようになる。
法的規制は一切無い。
どんな材料がどんな配合でどのように製造されて入っているのか不明。
まして副作用に関しては、まったく分からない。
作っている業者自身でさえ全然知らない。
なぜなら法的規制も、業者のモラルも、何もないから。
その一方でペットフード業界は低価格化の嵐である。
もともと、人の食品として適さない部分ばかりを使って作っていたペットフード、さらに低コスト化するとなれば、その内容ときたらもう想像を絶し・・・
ペットフードに混入されている(あるいは取り除かれていない)化学薬品がいかに多いか。
そのうちの一部の薬品について、その使用目的や問題点を列挙した章もあるが、読んでいるだけで背中が寒くなる。
そのほか、大豆入りペットフードの問題点や、猫缶の水銀問題、フードに含まれた空気のせいでおこる「鼓腸症」など、恐ろしい話ばかりだ。
最近のペットに昔にはなかったような病気が多いのは粗悪なペットフードのせいだと、著者は決めつける。
さすがに、ペットフード業界からも、このままではいけないという声が出た。
1993年4月22日に
「公正取引委員会の指導のもと、『ペットフード公正取引協議会』(法人ではない)内で『ペットフードの表示に関する公正競争規約』が改正・実施されることになりました。
それ以前の規約では、ドッグフードをカバーするのみで、キャットフードにいたっては野放し、規約の綱目すらなかったのですから。」
この本が発行されたのは1993年2月。当然執筆はそれ以前だろう。
上記規約改正は、本の発行の2ヶ月後ということになる。
規約が改正されればマシになるかと、著者は少し期待している。
が、この規約は単なる「同意者の集まり」であり、法的な力は無く、要するにいくらでも抜け穴はある。
どちらかといえば心配の方が大きいようだ。
(2006.6.28)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ペットフードにご用心!』
- 著:押川亮一 (おしかわ りょういち)
- 出版社:宝島社
- 発行:1993年
- NDC: 645.6(畜産業・家畜各論・犬、猫)
- ISBN:4796605568
- 155ページ
目次(抜粋)
- はじめに
- 第1章 ペットフードの基礎知識
- 山崎さんの悩み
- フード戦争
- その他
- 第2章 ペットフードにご用心!
- ペットフードにペニシリンが!
- 謎だrけの原材料
- その他
- 第3章 正しいフードの選択術
- 選択の基準
- 成分表示をチェックする
- その他
- 第4章 健康を守るための給与法
- 給与方法の原則
- 犬への給与方法
- その他