堺英一郎『食べてはいけない!ペットフード大解剖2』

堺英一郎『食べてはいけない!ペットフード大解剖2』

 

副題:『報道されなかったメラミン事件』。

すみません、書名を改訂してください。
「食べてはいけない!ドッグフード大解剖2」に。
はい、例によって、「ペット」と題しながら犬のことしか書いてない本。

正直、我々猫飼い主にとって読む価値があるのは、・・・「Part1 恐ろしいペットフード」p.11~p.36までだけと言って良いでしょう。
キビシク言えば、さらにその中の「第1弾」の約10ページだけといえるかも。
それもネットであまり調べ物をしない人、という但し書き付きで。

「Part 1 第1弾」では、2007年におこった「メラミン混入事件」が取り上げられている。

ペットフードの原材料に中国産メラミンやシアヌル酸が混入していて、そのフードを食べた多数の犬猫が急性腎不全や急性肝不全にかかり、うち少なくない数が死亡したこと。
と同時に、世界にペットフードメーカーは多々あれど、世界に流通しているペットフードの70~80%が実は、大手製造会社の4社が独占的に製造していたということが世界中に暴露された事件でもあった。
これではどのメーカーのどの商品が良いか、ラベルを見比べながら悩んだのがばからしくなる。

さらにこのメラミン、(人間用の)赤ちゃん用粉ミルクにも混入されていて、中国本土で大騒ぎになったのも記憶に新しいところだ。
私が理解できないのは、この騒動の順である。
決してペットたちを軽んじるわけではないけれど、それでも、もしこの暴露順が「人間用粉ミルク→ペットフード」であったならば、人間用でばれたから仕方なく(??)ペット用に転用したのかなと思うこともできるけれど、ペット用でばれて世界的騒動になって、その直後にいけしゃあしゃあと人間用に混入するとは?
なんて神経をしているんだろう!
それとも、中国という国はいまだにそれほど情報統制されているということなのか?
先のペットフードの騒動がベビーフードメーカーにさっぱり伝わらないほど情報網が悪いのか?

いずれの事件も、にわかには信じがたい事件だった。恐ろしい。

「Part1 第2弾」は、大豆とドッグフードとの関係について書いてある。

特に大型犬には注意が必要なこと。
大豆は犬猫の消化に適さないこと。
急性胃拡張とペットフードとの関係。
死亡するイヌが多いにもかかわらず、どうしてペットフードには大豆が使用されつづけているのか?

「Part1 第3弾」は、イヌの尿路結石症について。

「Part1 第4弾」は、毎年約40万頭(本の発行当時)の犬猫が行政によりさつ処分されていること。
でもこれはネットする人なら誰でも知っている(はず)の事実ですよね・・・?

「Part2」は、100ページ以上にわたって、各社ドッグフードの成分表示である。
キャットフードも製造しているメーカーも多いが、記載されているのはドッグフードだけ。なので猫飼いにはまったく不要なページ。

「Part3」は、日本ペットフード工業会をはじめとする各種資料の転載・抜粋がほとんど。
そして巻末に、メラミン事件でリコールされた銘柄の膨大なリスト。

最初に書いたように、ネットを全然しない人には、とても有益で興味深い資料群だと思う。
これだけのリストがこの価格で手にはいるなら、ネット以前の私なら大喜びしたに違いない・・・たとえドッグフードの話題だけであっても!

また、ネットをする人であっても、犬飼いで、うちのようにナローバンドしか無い地域にお住まいなどでネットサーフィンが難しい人なら、この本は便利だと思う。
(注:幸いその後、うちにも光ファイバーが開通しました。)

しかし、愛猫のために日々ネットで情報収集を重ねている人にとっては、すでに見た内容ばかりではないだろうか。
そういう人には購入は、残念ながらお奨めできません。

(2010.6.24)

堺英一郎『食べてはいけない!ペットフード大解剖2』

堺英一郎『食べてはいけない!ペットフード大解剖2』

堺英一郎『食べてはいけない!ペットフード大解剖2』

堺英一郎『食べてはいけない!ペットフード大解剖2』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『食べてはいけない!ペットフード大解剖2』
報道されなかったメラミン事件

  • 著:堺 英一郎(さかい えいいちろう)
  • 出版社:徳間書店
  • 発行:2004年
  • NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)
  • ISBN:9784198626877
  • 204ページ
  • 登場ニャン物:-
  • 登場動物:-

 

目次(抜粋)

この本を読む前に!
まえがき

Part1 恐ろしいペットフード

第1弾 ショッキング・レポート
世界を震撼させたペットフードの恐怖!
検出された毒物
アッという間にペットが死亡する!

第2弾 ショッキング・レポート
危険な添加物より怖いペットフードに含まれる大豆!
コネチカット大学病理生物学部獣医科学部長のクライニンゲン博士の論文
「急性胃拡張、各動物種の類似点にかんするレビューおよびイヌとサルにおける研究」 他

第3弾 ショッキング・レポート
食餌中の危険因子(尿路結石症が急増中)
市販のドライフードは尿酸塩尿石形成の危険因子だ!

第4弾 ショッキング・レポート
毎年40万頭のイヌ・ネコが炭酸ガス室で処理されている
Part2 手作りごはんと至難のペットフード

手作りペットフード
手作りごはんのためにこれだけは知っておこう
ペットの危険な食べ物
手作りごはんの素材、または手作りに近いペットフード

ドッグフード オーダーメイド店
プサコキッチン/マンマリゾ/POCHIポニのお肉屋さん/他

愛犬家が薦める市販のペットフード20ブランド
(毒ペットフードの回収リストに載らなかった数少ないブランド)
イノーバ エボ/アカナ/フィッシュ4ドッグ/他
Part3 ペットフードの大ウソ

ペットフードの大ウソ 総合栄養食とは笑止千万!
解剖学的所見(イヌの頭蓋骨側面)
ペットの採食行動

あとがき
資料

 

著者について

堺 英一郎(さかい えいいちろう)

東京に生まれる。日本大学農獣医学部獣医学科卒業。獣医師免許取得後、渡英する。ロンドンに8年滞在し、その後パリに移住し3年間滞在、帰国後、語学学校経営を経て、現在、作家。乳酸菌研究家、遺伝子組み換え食品研究家。
『食べてはいけない!危険な食品添加物』ほか小説、単行本など著書多数。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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堺英一郎『食べてはいけない!ペットフード大解剖2』

5.9

動物度

8.0/10

面白さ

6.0/10

情報度

8.5/10

猫好きさんへお勧め度

1.0/10

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