リューシュ編『現代の蛮行』
副題:『沈黙の叫び―――これが動物実験だ!』
【閲覧注意】の恐ろしすぎる内容、が、
これこそが現実だった・・・!!!
原題は”Vivisection is Scientific FRAUD”(=動物実験は科学の名をかりた欺瞞である)。
副題に「沈黙の叫び」と書かれているけれど、この動物達が沈黙していたはずがない。
泣きわめき、声を限りに叫んでいただろう。
沈黙したときは、命が絶えた時・・・
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2002年5月6日、「こげんたちゃん事件」が起こった。Mという男が、拾った子猫を4時間にわたって暴行・虐殺する様子を、インターネットの複数の掲示板に実況中継したのだ。日本中の猫好きを震撼させた残虐な事件だった。猫サイトはどこも大騒ぎとなり、こげんたちゃんのサイトが立ち上げられ、たちまち1日のアクセス数3000,リンク先700サイト、集められた署名数万名分という数になった。
しかし、・・・
現実世界では、そのこげんたちゃんにくわえられた暴行をしのぐ残虐な行為が、毎日、世界中で行われているのだ。
科学の名において。
日本で動物実験に使われる動物は年間2000万匹にも登るのだそうだ。マウスを筆頭に、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、その他その他。
動物たちの苦しみが最小限で済むように、最大限の注意を払いながら仕方なく行われる実験も中にはあるだろう。が、研究者の中には、「例えば内臓が露出しているようなケースでも『これは一見、苦痛を感じているように見えるが、内臓には神経がないので、この動物はまったく苦痛など感じていない』と、平気で言う」ような人間が多く含まれることも事実なのだ(注)。
この「現代の蛮行」は、そのような残酷な動物実験の実態を訴えた本である。わずか48ページの薄い小冊子。しかし、内容はとてつもなく重い。本というより写真集といっても過言でないくらいに写真が多く、そのどれもが目を背けたくなるような、それはひどい写真なのである。まったく身動きできないように固定する装置。なんのために行われているかわからない実験。これらの写真を見て平気で夜熟睡できる人はいないだろう。いてほしくない。私もこのサイトを立ち上げて1年近く、この本をアップする勇気が出なかった。
リューシュ氏はスイス人で、この本の舞台は日本ではない。が、日本は、先進国と言われている国々の中で、動物実験については一番遅れている国である。遅れているどころか、まだ何も整備されていない状態だ。日本では、動物実験する実験者も、実験施設も、実験計画も、飼育施設も、法規制が無いそうだ。イギリス・ドイツ・フランスなどではいずれについても、免許や資格、許可が必要となっている。日本では査定制度や記録の義務、罰則さえもない。これでは、江戸時代となんら変わりがない。否、生類憐れみの令が出された江戸時代の方が今よりもずっとマシだったといえそうだ。
この小冊子を、猫好きの皆様に誰彼構わず勧めることはできません。ショックが大きすぎるでしょうから。
何を見ても耐えられる精神力の持ち主だけ、この本を見てください。
(注)『カタカナの墓碑』の著者:佐藤良夫氏のHPのエッセイ「擬人化」より引用させていただきました。本もHPもとても考えさせられます。是非ご読み下さい。
(2002.3.15)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『現代の蛮行』
沈黙の叫び―――これが動物実験だ!
- 編:ハンス・リューシュ Hans Reusch
- 訳:姓名(ひらがな)
- 出版社:新泉社
- 発行:年
- NDC:490.76(医学)実験動物
- ISBN:4787701096 9784787701091
- 48ページ
- モノクロ
- 原書:”Vivisection is Scientific FRAUD” c1986
- 登場ニャン物:
- 登場動物: