赤川次郎『三毛猫ホームズの心中海岸』
あの義太郎が恋を!?
片山義太郎。警視庁捜査一課の刑事。30歳直前、独身。ひょろりとのっぽで、なで肩、丸顔の童顔、気はやさしくて力持ち・・・って程、力の方は強くない。力仕事はいつも、妹・晴美の(自称)恋人、石津刑事に任せっぱなし。
血を見ると貧血をおこす。
女性、とくに、美人には弱い。惚れっぽいという意味の「弱い」ではなく、文字通り、緊張して貧血をおこしてしまうのである。
さらに、高所恐怖症で、アルコールもからっきしダメ。
つまり、ぜんぜん刑事らしくない。
刑事らしい「すごみ」が無いかわりに、「弱み」ばかりが目立つ男、それが片山義太郎。
そのため、人びとに信頼され、「優しそう」と頼られる。
毎話、なぜか女性に、それも美人ばかりに言い寄られてオロオロする義太郎だが、・・・
今回ばかりは、義太郎の方も惚れた!?
さて。
水没した車の中から、2つの死体が見つかった。
男の方は、地味で平凡なサラリーマン・・・のように見えたが、実は大資産家一族の一員だった。
そして、女は喉を切られていた。こちらはあきらかに他殺。
無理心中?それとも、無理心中を装った殺人?
男の家族、火枝家というのが、尋常ではなかった。
尋常でない財産。
尋常でないほど広大な屋敷。
尋常でないほど気が強くてワンマンな母親。(老婆だからワンウーマンか?)
そして、尋常とは思えない子供たち(全員もう良い歳の大人だけど)。
大資産家の家で、大資産家であるがゆえに、おこった悲劇。
事件解決のために、義太郎は「偽装婚約発表」までするが・・・
* * * * *
(それにしても、なんて容赦なく罪のない人々を殺しちゃうんだ・・・?)
(1993年7月29日)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『三毛猫ホームズの心中海岸』
- 著:赤川次郎(あかがわ じろう)
- 出版社:光文社 カッパノベルズ
- 発行:1993年
- NDC:913.6(日本文学)推理小説
- ISBN:4334070531 光文社文庫新装版=9784334774127
- 223ページ
- 登場ニャン物:ホームズ
- 登場動物:-